内容説明
日本を深く愛しつづけたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。1890年に来日以来、日本の物語や民間信仰、風習等を通して、西洋至上主義に捉われることなく日本を理解しようと務め、数多くの秀れた作品を残した。本巻は八雲の作品の中でも「耳なし芳一」「轆轤首」「雪女」等、一般に親しまれている怪談・奇談42篇を、気鋭のハーン研究者達の新訳で収録。さらに巻末にこれらの原拠30篇も翻刻した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
日本に帰化した小泉八雲。日本の物語や伝承を深く愛していたからこそ、文化を通じてこのような作品を描くことができたのだと思います。美しい恐怖に満ちていると思います。2022/01/11
tokko
17
怪談なのでもちろん怖い。けれど西欧風のパワフルでグロテスクな恐ろしさとは違い、この世ならぬ存在とうつつの交わりは日本だとどこか静かで悲哀を感じさせる。それは生死や時空を超えたもっと仏教的な因業に対する眼差しを伴い、人間の本質を問い直したくなる怖さでもある。だからこそハーンの目には美しく写り、また興味深い発見となったのだろう。2018/05/24
パールレイン
16
独自の解釈を加え分かりやすく状況を書かれているので、日本の怪談としてのオドロオドロした恐ろしさは弱まった感じ。それにしても女性の情念は怖い。嫉妬し、恨み、生霊になり、呪い殺す。「果心居士」「因果話」「美の悲哀」が印象に残った。2009/09/02
tieckP(ティークP)
8
小泉八雲はかなり自覚的にコテコテのロマン主義者なのがエッセイから分かる。もっとも、神ではなく太古からの遺伝的記憶を根拠に置いているけれども、崇高という用語の用い方などははっきりしている。その儚く美しい美学をもとに日本の物語を考えるものだから、主人公などが俗物だったり、オチの罰が弱いところをときどき出てくる八雲が欠点と描くのも仕方ない。実際は日本の此岸重視からのリアリズムからそうした作品として完成されているのだが。とは言え、時代を考えればその仏教的説話への理解は大したもので、学ばされる話も多かった。2025/03/06
砂希ちま
7
先月、小泉八雲資料館で購入したものです。やっと読み終えました。前半はテンポよく読めたのですが、「なんじゃこりゃ」という構成の駄作もしばしば。全部が全部ホームランになるわけじゃないから仕方ないか。個人的には轆轤首が一番好きかな。短編ばかりなので、活字の苦手な人でも楽しめると思います。2018/09/17
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