講談社学術文庫<br> 世界に於ける日本美術の位置

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講談社学術文庫
世界に於ける日本美術の位置

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  • サイズ 文庫判/ページ数 210p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784061588578
  • NDC分類 702.1
  • Cコード C0170

内容説明

応挙の絵は写実的か。法隆寺壁画の特徴は雄渾美か。日本の名品を世界美術の視野に置いて見れば、際立つものは、むしろ優美艶麗な装飾美にほかならない。美術史家として国際的に活躍した著者は、日本美術鑑賞の「常識」を本書で敢然と覆す。芸術に対する公正な愛情を貫いた記念碑的な名講演(1934年)に、美の再興への思いほとばしる終戦直後の一論を加え、真の文化交流への道を提言。その語りは清新、芳烈の気を放ち、心を打つ。

目次

国際文化と日本美術(敗戦後の日本;明治初年と現在;外国研究のやり直しと批判的摂取;米国文化と日本;外国研究に於ける要点の理解の困難;笑えぬ誤解;日本文化の海外進出について;文化の意義;いわゆる文化外交;日本の国際文化事業に対する疑惑;日本の文化力とその世界文化に対する貢献;戦後初めての奈良京都への旅―サンソム卿とジョンソン大使;西芳寺の庭を前にして結ばれたる東西の心;個人外交ということ)
世界に於ける日本美術の位置
世界に於ける日本美術の認識
美術の世界性
日本美術に対する世界的批判の必要
日本美術の不評判
日本の対外宣伝と美術
日本彫刻論(日本彫刻に於ける立体性の欠陥;鎌倉彫刻と写実の限界;宗教芸術の象徴性と静相の彫刻;推古天平弘仁の大彫刻;藤原彫刻の感傷性;日本木彫論)
日本絵画論(水絵具と油絵具;日本絵画とイタリアの壁画;日本絵画の装飾性―大和絵―光琳派とその源流;日本絵画の多彩―日本水墨画―日本絵画に於ける雪の描出;日本絵画の印象主義―浮世絵;日本肖像画論;日本仏画の感傷的傾向―来迎芸術;絵巻物論;禅宗絵画と文人画)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くらひで

7
戦前、終戦直後の混乱期に、日本の美術の特徴を海外のそれと客観的に比較した文化論。講演録なので平易な文章で書かれ、読みやすい。敗北感の色濃い時代に日本の美術の良さを再評価し、多くの人たちの生きる勇気と希望を与えたことだろう。日本の名品には中国などの影響を受けつつも、優美豊麗な装飾美や甘美なる感傷性を付与することで独自の発展を遂げてきた。自然の微妙な変化を敏感に察知する感受性の豊かさに、その要因を見出すことができるだろう。今一度、日本らしさを見直すことが必要かもしれない。2015/04/29

ぴよぴよーーーーー

5
今で言うところの比較美術史論。「世界に於ける~」という題目の割に日本美術の比較対象は西洋美術に限り、「あれ、アフリカとかは?」とならざるを得ないが、まだ完全なる国際異文化交流がなされていない時期であったのだろう。日本美術の特徴・長所のみを延々と語り続け、その量一冊7、800ページにも及ぶ美術書が多くある中、本書は世界で通用する比較的厳しい基準を以て日本美術に向き合い言及するポイントを絞って述べている。更なる日本美術の発展・永続を望む私たちにとっての永遠のバイブルである。2015/01/30

tgmmm

1
日本美術の特質として印象性、装飾性、象徴性、感傷性の四つを取り上げ、逆に写実性などは日本の中で最高のものでも西洋の傑作の前には及ばないという見方を示している。1934年と1946年の講演だが、今日においてもスタンダードに感じられる意見が大半だった。敗戦直後の日本の将来への憂いが散見されたが、この現状を著者はどう思うだろうか。また日本美術の特質を培ってきたのは美しい自然だということにあまり実感を持てないのは残念なことだった。2017/08/17

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