内容説明
アメリカ民主政治の特質を明らかにした前2巻(1835年刊)に続いて5年後に著された本書で、トクヴィルは民主的社会についての思索を一段と深めた。民主主義がアメリカ人の精神文化、感情、風習、政治的社会等にどのような影響を及ぼしたかを具体例をあげて分析、考究し、さらにアメリカを超えて、民主的な中央集権国家における独裁の危険性にまで言及した。
目次
第1編 アメリカ連邦で民主主義が知的運動に及ぼす影響
第2編 アメリカ人の感情への民主主義の影響
第3編 本来の風習に対する民主主義の影響
第4編 民主主義的理念と感情とが政治的社会に及ぼす影響について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
8
下巻は前2巻の5年後に出版された。内容はトクヴィルが考えるアメリカ、アメリカ人論といった趣である。ということは当時のフランス最高の知識人が思い描いたアメリカ人論といっていい。当時のアメリカを客観的に知るにはもってこいの資料である。例えば性格について、アメリカ人は、外国人との関係では、少しでもけなされることには我慢できないようである。いくらほめられても気がすまないようにみえる。彼らは少しでもほめられることを好んでいるが、また、どんなにほめられても、それで満足することもめったにない。との印象を述べている。2013/07/26
まふ
1
三部作の最終巻。アメリカ人の平等な社会がもたらす人間としての道徳、政治姿勢、政治姿勢、文化、感情、風習などを、実に微に入り、細を穿ち、詳細に記述している。その観察眼、洞察力は真にすごい。今日のアメリカ人の特徴がそのままに描き出されており、ある意味での日本人の姿にも似たものを感じる。これが1835年に書かれたものとは信じがたい気がする。驚愕の書であった。問題は、井伊氏の翻訳である。真に読みにくい。日本語が下手である。生硬な日本語の漢語的熟語がそのままに出てくる。2003/12/25
samandabadra
0
確かに鋭い考察ともいえる。 当たっているものもあるし、そうでないものも でも、民主主義の危うさを危惧するこの間の後半は ロシアの民主主義などにも通じているように思えてならなかった2016/02/05
ピテラッツォ
0
ようやく最終巻でした。民主国と貴族国の比較から、自由と平等についての分析がなされていて面白かった。また読みたい。2012/02/19