内容説明
1973年、シューマッハーが本書で警告した石油危機はたちまち現実のものとなり、本書は一躍世界のベストセラーに、そして彼は“現代の予言者”となった。現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術の巨大信仰を痛撃しながら、体制を越えた産業社会の病根を抉ったその内容から、いまや「スモール・イズ・ビューティフル」は真に新しい人間社会への道を探る人びとの合い言葉になっている。現代の知的革新の名著、待望の新訳成る!
目次
第1部 現代世界(生産の問題;平和と永続性;経済学の役割;仏教経済学;規模の問題)
第2部 資源(教育―最大の資源;正しい土地利用;工業資源;原子力―救いか呪いか;人間の顔をもった技術)
第3部 第三世界(開発;中間技術の開発を必要とする社会・経済問題;200万の農村;インドの失業問題)
第4部 組織と所有権(未来予言の機械;大規模組織の理論;社会主義;所有権;新しい所有の形態)
シューマッハーの人と思想
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
56
感想が書いてなかった。経済学、教育、開発の項目が重要。市場の利己主義的なところとか、問題に思う。地産地消の、仏教経済学の意義は高い。開発は教育あってこそ。貧しい人には簡単なものが求められる。人間のための経済学を必要としている。昔も今も。2023/08/01
baboocon
33
今年200冊目。読み進めるのに時間がかかったが、内容は40年前とは思えないほど現在の社会にも当てはまるもので興味深い。人間性を排除し効率や成長ばかりを追い求める経済学を否定すると共に、再生不可能な天然資源を浪費する資本主義経済に警鐘を鳴らす。原発については現在の日本で彼の懸念が現実のものとなってしまった。途上国の開発の問題は金ではなく教育と、最先端ではなく現地の人々が自立するために適切な技術(中間技術)が必要。組織論や所有権の話は「日本でいちばん大切にしたい会社」や「SMALL GIANTS」に通じる。2012/07/29
Francis
12
20数年ぶりぐらいに再読。人間中心の経済学を唱えているのだが、論じる範囲が広すぎてまとまりに欠けるのが難点。中間技術が彼の中心的な考えだが、この中間技術は果たして現実にはどのように実践されているのかが、よくわからない。(ウィキによるとやはり中間技術はうまくいかなかったとの由)第三章「組織と所有権」はかなり考慮に値する議論がなされていると感じた。2020/02/09
Uzundk
12
斜め読み。1973年著。人間主義、いや個人主義を突きつめている現在の先にあるのは富めるものが富み貧しいものが貧しくなり資源を使い尽くす未来であると語る。特に"生産性こそが価値"という価値観が生まれ、使い尽くす事に向かって突進する世界に対して警鐘だった。生産性で語るのはそもそも間違いであるのだと。そこで取り出すのが人間性を取り戻した、人間的な生活を取り込んだ経済というものを語る。残念ながら未だにそれは達せられていると言えない。2016/03/04
たかしくん。
8
1970年台の著作とは思えない。原発に対する警告は、もっと前から、真摯に受け止めるべきものであったのでしょう。久しぶりに、「骨太」の本に出会いました。2012/04/22