出版社内容情報
【内容紹介】
下田渡海に失敗した松陰は、江戸より護送後直ちに野山獄に投ぜられた。本書は、再び世に出る見込みなき獄に起居し、同囚のために講義した「孟子」の前半。「吾(われ)の魯侯(ろこう)に遇(あ)はざるは天なり」において彼は「時に遇ふも遇はぬも、皆天に任せて顧みず。我に在りては道を明らかにし義を正しうし、言ふべきを言ひ為すべきを為すのみ」と。孟子のことばに拠り、それを越えて、自己現下の問題としてこれを考える、正に松陰ならではの気概の書である。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
91
下田からの密航に失敗し、野山獄に投獄された吉田松陰が、再び世に出る見込みなき囚人たちと「孟子」を読みといた講義録。劄記とは「針で刺すように真意を突いた文」という意味。後日「そこまで至ってない」と「講孟余話」と改題したあたりも、松陰の尖りっぷりがよく現れている。ほとんど絶望的な状況なのに「人の道」を益々身近なものとし、逆境こそ励んで道を得るためのよい境遇であるとし、囚人達や牢番も感化したエネルギーは物凄い。孟子の言葉を真剣に咀嚼し、自分自身や藩の政治、そして日本の将来に照らして考える姿勢に心打たれた。2016/05/31
かわうそ
45
読んでいるといつの間にか姿勢を正してしまう本。これが言霊というやつでしょうか?笑 吉田松陰という男の言葉にはそれほどの不思議なパワーがあるわけです。 学問が学問のためにあるのならばそれは意味をなさず、そうではなくて学問というものは道のために理のためにあるのだと、名誉心などを求めて学問に取り組めば必ずや権力や金に屈することになるのであってそうならないためには自らの道を定め、利ではなく理の元につまり、自分の道に沿って判断し日々修養を重ねていくことが大切だとする彼の学問に対する姿勢を見習っていきたいです。2023/03/06
かわうそ
36
『境の順なる者は怠り易く、境の逆なる者は励み易し。怠れば則ち失ひ、励めば則ち得るは、是人の常なり。』13 『人は、順境にある時は怠けやすく、逆境にある時は励みやすいものである。怠けると道を失い、励めば道を得るということ、これが人生の常の姿である。』15 身に染みます。励めば自ずと道は見つかるものだ。逆に努力をしなければ、道を失う。そして迷子になってしまう。。 『〔天下の費、兵より甚しきはなし。兵を省かずんば、何を以て税斂を薄うせんや〕』国が危機に陥ってる時に軍事費を増やすことは国を滅ぼしかねないのです。2022/10/16
かわうそ
33
再読。『君子は何事に臨みても理に合ふか合はぬかと考えて、然る後是を行ふ。小人は何事に臨みても利になるかならぬかと考へて、然る後是を行ふ。』159 吉田松陰がいなければ維新もなかっただろう。彼の言葉は彼の高尚なる生涯を通して弟子たちを突き動かした。高杉晋作や久坂玄瑞など名だたる人物たちを生み出したのは松蔭に他ならない。まさに驚くほどの大物だけども、彼の心の中にあったのは『至誠にして動かさざるものは、未だこれあらざるなり。』の精神ただそれだけである。2025/02/02
佳音
25
読んだにしたけど、永遠に読んでるにしたい。読み返したいと思う。仕事、生き方、なにかに迷い、惑う時ヒントを得たい一冊。口語訳も充実しているのでビジュアルが与える印象より読みやすいよ。高いけど一生もんだから後悔しない。借りてよむと私見だが、自分の時期を逸すと思う。2013/07/07
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- 和書
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