出版社内容情報
東 浩紀[アズマ ヒロキ]
著・文・その他
目次
第1章 理論(社会学;文学;メディア)
第2章 作品論(キャラクター小説;美少女ゲーム;文学)
付録(不純さに憑かれたミステリ―清涼院流水について;萌えの手前、不能性に止まること―『AIR』について)
著者等紹介
東浩紀[アズマヒロキ]
1971年生まれ。哲学者・批評家。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2006年10月より、東京工業大学世界文明センター特任教授。単著に『存在論的、郵便的』(新潮社、第二一回サントリー学芸賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
65
凡百の評論家なら細かく切りそうなところを、前近代、近代、現代にぶった切ってくれるので一度は分かったような気になったんですが、「環境」って本来はどこにいるか分からない読者の意識のことだよな、と思いかえすと難しくなります。自分としても、小説などの作品が商品で、同時代の市場を相手にしていることは自明だ、と考えていましたが、ここで言う「環境」がマーケティングできる範囲の消費者の意識だとすると、その考え方は偏狭ではないかと。つまり本書が書かれた13年後である現在、作品はまだあるけど「環境」はもうないので。2020/08/13
mitei
52
ただのラノベって言ったら語弊があるがそこまで深く洞察できるものなんだなと思った。個々のゲームはやってないのでネタバレ回避のため読み飛ばしたがあのシナリオにそんな意味が込められていたのかと気付かされてばかりだった。2012/02/14
SOHSA
38
《購入本》サブカル、特にラノベ等を中心的素材にした社会論、文学論。副題から前著『動物化するポストモダン』の続編であることがわかる。しかし、前著からの時間の経過に伴って、著者の言説も新たな展開を示す。特に物語そのものを自然主義的に読み解くのではなく、構造的・環境的に読み解くことによって作者の意図とは異なった、あるいは意図せずにしかも必然的に生じた射影が自然と浮かびあがってくるというのは大変興味深い。ともあれ、ラノベ等の造詣が圧倒的に不足している私自身としてはとにもかくにも(→)2016/07/08
minochan
23
『ひぐらし』や『All you』を経た自分にとって「ゲーム的リアリズム」は直感的に理解できた。その前提である「まんが・アニメ的リアリズム」も。今も二つのリアリズムは溶け合い、範囲を拡大していると思う。たとえば流行のなろう系で、事故に遭って異世界転生するのが常識のように描かれるのは、まんがアニメ的リアリズムがキャラだけでなく舞台設定にまで広がった例だと思う。異世界でもギルドやランクなど、ゲーム的な設定が多い。僕はそういう浅い?モチーフの再生産が嫌いだったが、それが新しいリアリズムだと言われたら黙るしかない。2024/06/20
佐島楓
20
美少女ゲームはおそらくプレイしたことがないと感覚的にわかりづらいのではないだろうか。家庭用ゲームのヘビーユーザーだった私は、しかしシナリオライターさんのメッセージを酌めてなかったのだなあとかなりがっかりした。つまりものすごく素直なプレイヤーだったのだ。制作者の真意がここに書かれているように皮肉がこもった内容にあるとしたなら、なんというか凄く反省しなければいけないような気分。そして同時にこの業界に魅力を再び感じてしまった。今度はユーザーじゃなく書くほうで参加したいです。2012/03/03