内容説明
イラン革命、湾岸戦争、ユーゴ紛争、原理主義…。イスラームにいま何が起きているのか。西欧優位の時代が生んだ近代化改革と、イスラーム復興運動のあいだで苦悩する、イスラームの近・現代を描くシリーズ最終巻。
目次
1 「西洋化」するオスマン帝国
2 アラブ世界の近代
3 シーア派ウラマーの近代
4 ロシア支配下の中央アジア
5 メッカ巡礼と周縁地域
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
17
イスラーム通史を目指す3冊シリーズの最終巻。欧州帝国主義の圧力を受け、改革を目指すイスラーム諸地域。民族を中心にした国民主義、アラブというアイデンティティに根差すアラブ主義、あくまでイスラームに価値を置くイスラーム主義と、歴史、地域、民族、環境に応じたダイナミックな動きが見られるとのこと。象徴的なのは西暦ではなく、イスラーム暦で見たとき、1979年こそが15世紀の始まりであり、この前後のイラン革命をはじめとする様々な事件が、今日まで影響を与えているという見方。最後まで発想の転換を要求する稀有な読書体験。2023/03/18
富士さん
5
再読。イスラムの売りだった流動性がヨーロッパの定着性に敗北する近代。流動性という切り口がイスラムを発展もさせて、凝集性も奪っているという意味で、このシリーズが採用した切り口がここで利いた感があります。だったらもうちょっとそれまでを整えて欲しかったですが。個人的には、イラン革命後の政体が、ヨーロッパの近代に直面したイランの聖職者たちが考えてきた西洋的な政治システムとイスラム的政教一致システムの統合案を実現したもので、行き当たりばったりや反動や妥協のような後ろ向きなものではない事を知ったのが驚きでした。2020/09/06
kapo54
0
必要なところまで2015/11/14
じろう
0
メッカ巡礼がスーフィ教団のイスラム世界への布教と軌を一にする。ナショナリズムとイスラム主義との対立が常にあること。2021/02/06