内容説明
イラン・イラク戦争の発端となった、あいまいな国境線。パレスチナをめぐるアラブの大義と国益の矛盾。紛争の火ダネ、シーア・クルド・ドルーズ。イスラム社会主義に固執するリビア・カダフィ政権。中東世界がわかりにくいのは、多くの状況が錯綜しているからだ。「情報戦争」「正統性」など九つのキイワードによる複眼的視点を提示。
目次
1 情報戦争
2 不安境界
3 アンビバレンス
4 構造的相互依存
5 エスニシティ
6 正統性
7 水平線上戦略
8 複義性
9 アイデンティティ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
12
1987年2月刊行。インティファーダが始まり、公民権運動を戦った米ユダヤ人等にイスラエル批判が生じる。この数年後、東欧の解放や湾岸戦争などが起こり、国際メディアの目がそれる。▲通信について。2020年はスマフォでほぼ世界中どこからでもリアルタイム通信可能だが、著者1970年頃の体験談として、当時、英文電報による原稿をカイロ発信東京着信に最大18時間かかったそうな。東京まで電話を繋ぐには前日から予約が必要で預託金まで支払った▲この時代だと、E.サイードの名前がときどき登場するなぁ。2020/01/03
nobody
8
トートロジー、アタリマエ、同値の並立、意図不明、衒学的高踏的修辞等、体裁に拘ってページを費やしながら、肝腎な書くべき、書いてほしいことは紙幅がいくらでもあるのに書かない。これは教養書あるあるで、物書き皆肝要な部分は筆を揃えたようにぼやかして書く。「ただし『首長』といってもバハレーンやカタールは『シェイク』の翻訳だが、オマーンの場合は『スルタン』の翻訳である」だけでシェイク、スルタンの説明はなしといった具合。その調子で欧米・近代派(イランのパーレビ王制がそれだったがホメイニ革命で潰れた)でもイスラム原理主義2025/05/31