内容説明
ときは戦国末期。上杉謙信、北条氏政、武田信玄、佐竹義重など、そうそうたる勇将、猛将がひしめき、しのぎを削る関東―。弱肉強食の冷厳たる摂理が支配するこの地で、小領の主として争乱の渦中に身を投じ、弱小の悲哀をなめながらも、ただ一人「義」のために生きようとした男がいた。その名も真壁氏幹。抜群の剣技と強靱な体躯、さらに聡明な頭脳と人を惹きつける「漢」ぶりで、氏幹は乱世を鮮烈に駆け抜ける。
著者等紹介
高妻秀樹[コウズマヒデキ]
1955年、宮崎市生まれ。46歳の時、公立高校教員として初めて歴史科目を担当したことから一日一冊の歴史関係書を読破するようになり、それが小説執筆への契機となる。以後、歴史小説に挑み続け、2005年、第11回歴史群像大賞受賞作の『胡蝶の剣』で鮮烈にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
4
佐竹義重の右腕とも言える鬼真壁こと真壁氏幹を描いた作品。塚原卜伝の弟子なのに棒術使いな暴れん坊なイメージしかなかったのですが、領民に慕われ、家族思いで歌声が素晴らしい偉丈夫として書かれてます。タイトルが鬼の義なので義重への厚い忠義でも描かれているのかと思いきや、そうではなく、上杉謙信に憧れつつも何かが違い、それからずっと己の義を追求するものです。最後は著者の妄想ながら会津征伐の上杉軍に加わり、この頃が一番生き生きと書かれており、よかったところです。2014/12/11
ヘムレンしば
3
戦国時代の常陸国の国人領主真壁氏幹の生涯を描いた物語です。関東の佐竹氏配下の小領主から見た戦国時代というのも面白いですね。佐竹氏、北条氏、上杉氏、その他もろもろの小領主を含めて、必死に戦いあう戦国の世なのですが、中央では信長の台頭秀吉の台頭があって、北条征伐で一気に中央と繋がって戦国の世が終わるのですよね。「鬼真壁」と言われた猛将の鬱屈した気が良くわかります。その後会津征伐時に上杉軍に参加して戦うのですがこれは創作のようです。しかし義を持って戦いと願う鬼真壁を、この戦に参加させたい気は良く判ります。2013/02/04
紫
2
戦国武将兼剣豪の真壁暗夜軒氏幹が主役。剣豪小説と思って読んだら、武将小説でしたよ! 一番有名なはずの斎藤伝鬼房との争いの逸話がほんの数ページの扱いでびっくり。考えてみれば戦国武将として忙しいのに「いちいちそこら辺の武芸者にかまっていられるか!」という感じの事件ですよね…。古い小説などでは父親の久軒の事跡と混じり合って描かれていたらしく、小田原の役に前後して戦死したと思い込んでいたので、豊臣・徳川の治世を生き長らえて天寿を全うしていたことにも驚いたのであります。でも、小説としての出来は微妙。星3つ。2018/07/07
すももたろう
0
☆☆☆2016/01/19