出版社内容情報
上杉謙信に育てられ、越後・会津・米沢を舞台に、主君・上杉景勝の家宰として辣腕をふるった、名執政・直江兼続。上杉景勝の家臣でありながらも、太閤秀吉より三十万石を賜り、敢然と徳川家康に異を唱え、戦国の世を正々堂々と生きた武将の生涯。
内容説明
幼少より上杉謙信の養子・景勝の近習として、時に謙信の薫陶を受けて育った直江兼続。謙信亡き後、弱冠20歳にして名門上杉家の軍師となり、水魚の交わりの君主・景勝を支える。その才気に魅せられた秀吉は、陪臣ながら破格の30万石を与え、天下を任せられる者として兼続を賞賛。さらに学問への深い造詣は京の名僧をも唸らせた。常に大義を標榜し、関ヶ原前夜、家康に弾劾状を叩きつけて真向から対立した気魄をもって、戦国を鮮やかに駆け抜けた智将の生涯。
著者等紹介
江宮隆之[エミヤタカユキ]
1948年、山梨県生まれ。中央大学法学部卒業。1989年、『経清記』で第十三回歴史文学賞、1995年、『白磁の人』で第八回中村星湖文学賞を受賞
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感想・レビュー
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高山
5
今まで全く知らなかった武将なのですが。まず愛の兜の話で引き込まれ、あの軍神上杉謙信の最後の弟子ということで興味をもちました。謙信と同じく義に生きた人生で個人的には大好きな生き方なのですが、信長、秀吉、家康を見ると世の中を変えるには正しい事だけでは無理なのだろうなあと思いました。2015/06/03
BIN
1
義の知将直江兼続。上杉謙信の愛弟子として軍略の薫陶を得る。その謙信が後継者は景虎にしたいのではと思いつつ、不義としつつも主君景勝のため義を捨てて景虎を討ちとり、それをずっと悔み続けながら、最終的には直江家断絶という決断を自ら取る漢。景勝との絆の強さが凄い。一流の軍師ぶりがよく表現されている。ほとんど兼続に唯唯諾諾のような感じだった景勝が関ヶ原のときだけ反対した。ここも兼続の言う通りにしていたらどうなっていたことやらと興味が尽きない。序盤の愛の前立ての解釈も良いですな。2012/01/21
fuji
0
期待してなかったのは私の無知か。とっても面白かった。直江兼続は故郷の歴史人物。思えばこの人に関するのは童門さん、近衛さんのもの、そして随分前に藤沢周平さんの“密某”を読んでいた。他にもこの時代を扱う小説には必ず登場するのが直江兼続。それらが無意識の中で融合されるせいか読み増す度に興がのってくる。このサイトのリストには更に沢山の方が書いておられる。坂口安吾さんのは是非読みたい。元に戻って、この江宮さんものは特に、直江の軍師としての姿、義と不義の狭間に迷う描き方にはリアリティを感じさせられ、印象的だった。2015/08/26
xchiko63
0
夏の東北行脚を一緒にした先輩と本を交換して頂きました。 兜の「愛」の字の話から始まり、その生涯を閉じるまでの物語。 真っ直ぐで、気骨があって、本当にカッコイイ方です。(惚) 時代小説は苦手だなぁと思っていたのに、あっという間に読んでしまいました。 大河ドラマ。。。絶対見なければ!!2008/12/29
TAC
0
☆x3 自分に最初の兼続モノ。此処では “御館の乱” は「不義の戦い」であり それを先導或いは扇動し勝利に導いた張本人こそは直江兼続である という解釈が披露される。現在為される考証の多くが先ず立場を同じくするらしいことを 何作か読み継ぐうち私は知るに至るが ではそもそも不義に始まった景勝公の時代を それを執政として支える兼続の中枢を どのように料理して結末まで運ぶのか どのように兼続自身へ納得させるのか という 兼続を読む上での私の第一の興味/姿勢を この作品は生むこととなった。2006/12/23
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- 和書
- 爆ぜる脳漿燻る果実