内容説明
晩秋の出羽国最上川を遡る船中に、疵を負った老武士の姿があった。寒河江で船を下りた老武士は馬に跨り土埃を上げて疾走していき、ふたたび姿を現したのは、最上義光の属城・長谷堂城を攻囲中の直江兼続の菅沢山本陣だった。武士の名は石田三成の軍師・島左近。敗戦の関ヶ原からからくも脱し、はるばる出羽まで下ってきた左近は、三成の再挙の意思を伝え、上杉家の戦闘継続と徳川家康の誅伐を懇請した。刎頸の友・三成との盟約を守ろうとする兼続は景勝を説き伏せる。―武門の誇りを保ち、「義」に生きる漢たちの壮烈な戦いが始まる。
著者等紹介
工藤章興[クドウショウコウ]
1948年、愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。新聞社・出版社勤務を経て執筆活動に入る。複数のペンネームを使い分け、さまざまなジャンルで健筆をふるっている。歴史分野では現地取材を第一とし、文献資料だけにとらわれない独自の視点で、従来の史観を見つめ直している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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