出版社内容情報
吉川英治の長男である著者が、偉大な作家である父の日常を描き切る。吉野村へ疎開する日から、父がその生命の炎を燃やしきるまで、数々の思い出を通して人間・吉川英治の素顔に迫る!――余人に書きえぬ、吉川英治ファン必読の好著。
内容説明
世にも稀なほど美しい父と子の交情の記録。巻末に吉川英治年譜・原稿、色紙・写真等収録。
目次
吉野村へ
終戦のころ
『新平家』と末っ子の誕生
私の中学入学
軽井沢
結婚披露
吉野村を後に
熱海時代
闘病
『新・平家』完結
『私本太平記』起稿
最後の家
昭和三十六年
昭和三十七年
著者等紹介
吉川英明[ヨシカワエイメイ]
1938年(昭和13)年、東京都生まれ。作家吉川英治の長男。61年慶応義塾大学法学部卒業。NHK勤務を経て、作家。吉川英治国民文化振興会理事。吉川英治記念館館長
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感想・レビュー
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シュラフ
26
わたしの好きな作家は、山本周五郎と吉村昭、そして吉川英司。吉川英司はなかなかいいよ。例えば、日本酒について「酒は日本刀を液体にしたようなもの。あの清澄冷徹なるにほひ、芳烈無比な味、まちがふと人も斬る、自分も斬る」と書いている。これはすごい表現だよ。詳しく書いてはないが、父の事業失敗により小学校中退というから苦労人である。高等教育を受けなかったことへの後悔はないが、学生時代の友人がいないことを残念がっていたという。工員などの経歴を経て流行作家にのぼりつめても、気持ちは大衆の側にあった。真の国民作家だと思う。2018/09/30
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