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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784048981828
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ひとりの男が、ラスヴェガス郊外のネヴァダ砂漠で発見される。所持していたカードから、男はサムソン・グリーン、36歳、コロンビア大学の英文学教授で、8日前から行方不明になっていたことが判明した。その後、病院で脳にサクランボ大の腫瘍があることが見つかり、手術の結果、サムソンの過去24年間の記憶は失われ、12歳までの記憶しか残らなかった…。ニューヨークの自宅に戻ったサムソンは、愛していたはずの妻、情熱を傾けてきた仕事、そして自身の人生、彼を取り巻く世界そのものから取り残されてしまった疎外感に苦しむ。そんな折り、レイ・マルコムと名乗る科学者から、ネヴァダ砂漠の研究所での脳医学実験に参加しないかと声をかけられる。ニューヨークでの孤独な生活から逃れ、だれも自分を知らない地での新生活に賭けようとするサムソンとは対照的に、妻アンナは、自分の愛した夫がもう二度と戻らないのではないかと危惧を強めてゆく。人は愛の記憶なしに、だれかを愛することができるのだろうか?空白の記憶をかかえた男の絶望と再生をとぎすまされた文体で描く、米文学界期待の大型新人のデビュー小説。

著者等紹介

クラウス,ニコール[クラウス,ニコール][Krauss,Nicole]
詩人・作家。スタンフォード大学卒業後、英国に渡り、オックスフォード大学およびロンドン大学コートールド美術研究所にて学位を取得。『ニューヨーク・タイムズ』や『ロサンゼルス・タイムズ・ブックレヴュー』『パルチザン・レヴュー』にて文芸批評を寄稿。「イェール大学若い詩人賞」で最終選考に残る。これまで『パリ・レヴュー』『プラウシェアーズ』『ダブルテイク』などで詩作を発表。処女作ながら非常に高い評価を受け、「ロサンジェルス・タイムズ文学賞」の最終候補となる。執筆中の第2作『HISTORY OF LOVE』はすでに15カ国に版権が売れたことで大きな話題となる。アメリカの若手作家のなかでもっとも注目を集めるひとりである。現ニューヨーク在住

坂本憲一[サカモトケンイチ]
1944年生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒。美術書の編集者を経た後、翻訳家となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆぎ🖼️

24
記憶を取り戻す主人公。12才までの記憶しかなく24年分は脳ごと研究施設に切り取られていたという((( ;゚Д゚)))始まりは断絶的で('_'?)な感じで始まるが、読み進めると旅と記憶を辿るようにして研究所に潜入して怒りを覚える主人公に同調していく感じがした。これが著者のデビュー作とは驚嘆と訳者の後書きとも。2020/10/02

eirianda

19
身内が認知症に罹って以来、記憶に関する本をよく読むのだけど、この小説は記憶を失うことの不幸に酔いしれる類の物語でなく、記憶と自分の存在、他人の記憶と自分の存在について考えさせる話でした。私とは私の記憶の積み重ねで成り立っている。実際に起こった詳細な現実ではなく、覚えている事がその人を作り、私が親しいと思っている人も私の記憶を通して(思い違いも含めて)知っている人なのだという、そんな思いを強める本でした。舞台となる砂漠は記憶のように乾いて形を常に変えるものの象徴かと。どの人生も孤独で万物流転だわ…しみじみ。2017/01/25

algon

6
「ヒストリーオブラブ」の作り様に惑わされながらザラには無い才能を見せつけられた。本作が20年前の出版だがデビュー作。訳出は3作しかない?と寡作な印象。ネバダ砂漠で保護されたサムソンはコロンビア大学の教授だが脳の腫瘍で記憶がなく手術によって12歳以降の記憶を全く失う…。妻アンナとの仲も亀裂が深まるうち1本の電話が。ある研究所で失った記憶の代わりに別の記憶を注入するプロジェクトに参加するが注入された記憶はとんでもないものだった…。次作にもみられるロジカルな著述と多彩なストーリーは注目に値する魅力を備えていた。2024/05/04

Aoka

1
2昨目ほどの完成度はないけど、四章と終章の最後の2行でぐっときた。テーマが主人公とアンナのラブストーリーなのだと気付いた。2009/06/29

syachi

1
12歳以降の記憶を失った男の苦悩、腹落ちしない記憶は毒なのかな。単純にハッピーエンドへと向かわないのもまたよいか。2014/07/27

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