出版社内容情報
老老介護、夫の死を見送った今こそ述べる、死ぬという任務とそれまでの生「死」というものだけは確実に人間の生涯に立ちはだかっている。が、この考える以上に誰もに公平に訪れる運命について、日本人は真正面から対峙せず避けて通ろうとしてきた。
痛ましい幼年の死も、長寿の死も、その前に晩年が訪れる。すなわち死について考えることとは、それまでの日々をいかに生きるか、考えることでもある。
そして、死について、死までの生について考えることを「広く」訴えることは、著者の長年の願いでもあった。
幼少時からキリスト教に触れ、13歳で終戦を迎え、23歳で文壇にデビューし愛と死を描き、夫と自分の親を自宅で看取り、85歳で夫を見送った著者が、80年以上にわたって考え、見つけ続けてきた
「死」と、その学びから始まる「生きる」ことについての全18話が、待望の書籍化。
第一話
日本人は高度な学問は学ぶが
誰もが確実に体験する死は
学校で教わらずに社会に出る。
こんなおかしな話はない。
第二話
人生は思い通りにならない。
それでも人間には
小さな幸福が与えられている。
それだけでいいのだ
第三話
私たちは日常性の中で
なんということなくある日
この世から「劇的でなく」
消えるのがいい
第四話
晩年はいつでもやってくる。
だから金も知識も人間関係も
常に「整理」しなければならない
人生は整理の仕方にかかっている
第五話
六十歳を迎えたら
自分はどのように金を使い
何をしたら満足するか
事前に少しでも予測すべきだ
第六話
金の使い方、住む場所、人間関係…
体力を失うまでに
自分の好みとする人生を
選び取らねばならない
第七話
大切なのは生き残る家族だ。
だから彼らが安心できる状況を
死ぬ前に作ることは
非常に意味がある
第八話
人は運命に流される。
が、不運に思えるような
その運命の中にさえ
大きな意味を見出すことがある
第九話
他人に期待されることなく
遊んでいるようにしか見えない
死を目前にした老年期こそ
学ぶのに最適な年月である
第十話
あれもこれもできなくなった
と不満を抱くことなく
あんなこともこんなことも
できる、してもらえると
感謝すべきである
第十一話
利己的で不機嫌な老人になるか、
明るく楽しい老人になるか。
いかに最後の日を送るかは
自分で決めることである
第十二話
常に別れの日を意識して
人と会っていることが必要だ。
そして、できれば温かい優しい
労わりを示し別れたいものだ
第十三話
肉親を亡くすことは
ごく平凡な変化である。
家族はそれをできるだけ静かに
何気なくやり過ごす義務がある
第十四話
努力と結果は一致しないし
将来の幸福とも関係ない。
努力は現世で成功するためではなく
悔いなく死ぬための準備である
第十五話
人生は目的に達すれば
いいというものではない。
楽しんだり苦しんだりする
道程に意味があるのだ
第十六話
日本では稼ぎ手の夫が死んだから
飢えに苦しむという状況はない
だからこそ喪失は心理的なものとなり
残された者の悲しみは深くなる
第十七話
安定と不変が維持するのに
最も困難なものである。
だから生涯共に何十年かを
生きられることは
大きな幸運と思わねばならない
第十八話
現在何歳であろうと
与えられた死までの時間を大切に
分相応に使わなければならない。
そして、死を常に意識して
謙虚に生きなければならない
あとがきにかえて
曽野 綾子[ソノ アヤコ]
著・文・その他
内容説明
利己的で不機嫌な老人になるか、明るく楽しい老人になるか。いかに最後の日を送るかを決めるのは、死んでからじゃ遅い!幼い頃からキリスト教で死を学び、十三歳で終戦を迎え、三人の親を自宅で看取り、二〇一七年、夫を見送った曽野綾子が、生涯をかけ対峙してきた、「死ぬ」という務めと、それまでを「生きる」任務。
目次
第1部 人間が確実に体験する「死」という人生最大の準備について(日本人は高度な学問は学ぶが誰もが確実に体験する死は学校で教わらずに社会に出る。こんなおかしな話はない;人生は思い通りにならない。それでも人間には小さな幸福が与えられている。それだけでいいのだ;私たちは日常性の中でなんということなくある日この世から「劇的でなく」消えるのがいい;晩年はいつでもやってくる。だから金も知識も人間関係も常に「整理」しなければならない。人生は整理の仕方にかかっている;六十歳を迎えたら自分はどのように金を使い何をしたら満足するか事前に少しでも予測すべきだ ほか)
第2部 夫を見送った後に対面するようになった「死」について(利己的で不機嫌な老人になるか、明るく楽しい老人になるか。いかに最後の日を送るかは自分で決めることである;常に別れの日を意識して人と会っていることが必要だ。そしてできれば温かい優しい労わりを示し別れたいものだ;肉親を亡くすことはごく平凡な変化である。家族はそれをできるだけ静かに何気なくやり過ごす義務がある;努力と結果は一致しないし将来の幸福とも関係ない。努力は現世で成功するためではなく悔いなく死ぬための準備である;人生は目的に達すればいいというものではない。楽しんだり苦しんだりする道程に意味があるのだ ほか)
著者等紹介
曽野綾子[ソノアヤコ]
1931年生まれ。聖心女子大学文学部英文科卒業。大学在学中から同人誌で執筆を始め、23歳の時『遠来の客たち』が芥川賞候補となり文壇デビューを果たす。1979年、ローマ教皇庁より「ヴァチカン有功十字勲章」を授章。1972~2012年まで海外邦人宣教者活動援助後援会代表を、1995~2005年まで日本財団会長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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