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内容説明
前触れなく人間が消滅し、その痕跡も、周囲の人々の記憶からも消え去ってしまう世界。人々は普段通りの生活を続けながらゆるやかに訪れる世界の終わりを待っている。そんな世界でぼくは例外的に消えた人間の記憶を保持することができた。そしてぼくは気がつく。人が消えていくばかりの世界の中、いなかったはずの少女がいつのまにかクラスの一員として溶け込んでいることに―。ゆるやかに終わっていく世界での、切ない恋を描く感動の物語。
著者等紹介
杉井光[スギイヒカル]
1978年、東京都に生まれる。高校卒業後、雀荘勤務の傍ら音楽活動を続けていたが、バンド解散をきっかけに小説執筆を始め、2005年、『火目の巫女』で電撃小説大賞“銀賞”を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
半熟タマゴ
31
人が消えて、その人が生きていた痕跡も記憶も全て消えてしまうようになった世界でのお話。ラストの海でのマコトと奈月のやり取りがすごく切ない。悲しくて静かな世界観がよかったです。2014/09/28
Yobata
28
前触れもなく人が消失し、その痕跡,周りの人の記憶からさえも消え去ってしまう世界で、ぼくだけがニコンUを通して記憶を保つ事ができた。その為、僕は死者の存在を残す為、写真を撮りアルバムに収める。そんな中、クラスの中にいなかったはずの少女が存在し、ぼくはその子の写真と名前を知っていた?緩やかに終わりを待つ世界の中で描かれる恋物語。ぼく,莉子,奈月がそのまま『さよならピアノソナタ』の直巳,千晶,真冬かと思った。鈍感で薄っぺらいうじうじした煮えくらない態度の主人公・ぼくは直巳のまんまでしょwラノべじゃないからさすが2013/06/22
王蠱
25
人々が消え、その人につながるモノが残らなくなってしまった世界で記憶を保持できる少年の物語・・・とここまでだとわりかしありきたりな話だが主人公がそれに抗うでもなくただ平気と自分をごまかし押し殺して受け入れてしまっているというのが妙にリアルで、受け入れにくかった。儚く美しい物語だとは感じたがやはり世界観自体の謎(なぜ人が消えるのかなど)についてはもうちょっとでも言及してくれた方が最後の場面の意味などは分かりやすかったかも2012/11/06
ソラ
25
最後の二人で海に行くシーンがなんとも言えないかも。それにしても、作者は音楽好きなんだなぁ2012/11/04
おかむー
25
あぁ、なんかいいね。決して目を見張るモノがあるわけではないけれどしっとりとした感じです。『よくできました』。基本作中の仕掛けがはっきり理解できないと不満が残るタチなのですが、この作品はもともとの設定からしてもこれでいいのだと思えた。奈月と海を目指した結果は悲痛ではなく沁みるような切なさと儚さがとても自然だった。小品ながら良作。2012/10/30