感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
10
「狩」から「香雨」へ。生や命をあらためて見つめ直す、円熟の第6句集。「失ひしものにも重さ香水瓶」「湯上りの心もとなき素足かな」「早起きをせずともよき日小鳥来る」「秋晴やピアノ開ければピアノの香」「みづうみは光の器朝ざくら」2024/03/20
豆ぐみ
3
「香雨」主宰の第6句集、平成24~30年の句。特に好きな句は〈目に見えぬものの降りくる春の昼/みづうみは光の器朝ざくら/にぎりたる木の実の固さ人悼む/葉書の字だんだん小さし秋の蝶/転生の果の大水青蛾(おほみづあを)なるか/つゆけしや洗顔の手の他人めき/対岸へ渡る橋なき夕桜/抱かれて子猫のかたち定まらず/ちるとなく散りとめどなくちる桜/猫のため主のために冬日向/凍つる夜の一人に開くエレベーター/神々の犇きあへる春の闇/湖に船の老いゆく青嵐〉などなど。2019/10/25