内容説明
50年の時を隔てた戦時下と現代の日本で、時代と集団の空気に逆らい、それぞれ立ち上がった二人の男たちは、どう生き延びるのか?家庭、軍隊、職場にあって、死、幸福、不安のあいだで大いに揺れる人間を描く長編大作。
著者等紹介
鈴木光司[スズキコウジ]
1957年浜松生まれ。慶應義塾大学仏文科卒。90年、第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞となった『楽園』でデビュー。95年発表の『らせん』で第17回吉川英治文学新人賞を受賞。『リング』『らせん』『ループ』『バースデイ』のシリーズが人気を博し、90年代を代表するエンタテインメント小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
人間万事塞翁が馬ZAWAZAWA
81
特攻隊員として死を覚悟し飛び立ち、自分の意思で離脱した唯一の人と現代を結ぶ話。『リング』『らせん』の著者であり、映画のイメージからその類の本かと思っていました。が違う。重厚であり深い!ラジオ版・学問ノススメの中で、学生時代に構想を思い付いたと言っていた。それから30年ついに完成。読書メーターでの評価がめっちゃ低いのが不思議。感想の多さと内容は一致しない。敬遠していた『リング』等も読んでみようと思わす鈴木光司の筆力に感謝。永遠の0に負けていない。2013/08/24
まつじん
27
ちょっと主人公のテレビマンをかっこよく書きすぎです。ものすごく計算された周到な作品です。カチカチと歯車がぴったり合って物語が収まる様は見事です。1994~5年バブル崩壊後かつ戦後50年という時代のことを今更読まされるのは、なんとも懐古調で、虚しさを覚えてしまいます。2012/01/03
RIN
26
太平洋戦争末期、出撃しながら自らの意志で離脱した特攻隊員を探す現代のテレビマン。現代と過去と交互に話が進み・・・。素材も設定も展開も面白いのにどうにも読み進まず他の本を間に挟みながらようやく読了。恐らく同じ題材で高嶋哲夫氏や永瀬隼介氏が書けば爽快痛快カッコいい冒険譚になったであろうし、佐々木譲氏や浅田次郎氏が書けば時折涙ぐむ人間ドラマになったであろう。結局は恋愛小説?(この作家さんの場合いつも恋愛=不倫なのだが)。『永遠のゼロ』で主人公の姉の恋人の新聞記者に共感抱いた人はすんなり読める、かも。2014/11/22
itica
19
このページ数とタイトルと装丁。失礼ながら食指の動く感じではない。読んでみると、不倫から始まる描写。これも必要だったのかもしれないが、どうも不倫相手の菜都子に好感が持てない。特攻隊として出撃しながら生き残った人物にもっと重点を置いてもらいたかったと思う。とは言え、氏が書きたかったのは特攻隊員の事ばかりではなく、もっと大きなテーマ、人間の生き方に対する姿勢なのだろうか。何はともあれ、少し頭の中を整理して再度考えてみたい。2011/04/08
キムチ
15
開口一番・・申し訳ないが構成の甘さと流れの不自然さが強く感じられる仕上がり。 「自分の意思で編隊を離脱して生還を遂げた特攻隊員」をメインテーマに熱く語りたかったのであろうが、独りよがり的熱情がびゅんびゅん吹き、そこを浮かび上がらせる為の雪島の父の体験談と、恩人である特攻隊の生き残りの手記がぎくしゃくしていて・・読んでいてご都合主義を感じてしまった。 詰まることろ、「自らの意思で」離脱して・・は色々な事情でそうなったとしか受け止められず、結果オーライで、今日を生きている感じ。感動以前の問題でしょう。 2013/09/11




