内容説明
傷病をかかえた樹木を診断し治療する樹木医の沢村と画廊喫茶を営む美枝子。静かな生活は、運命の再会で破られる―。八ヶ岳の麓の集落にあるアカマツの初診を終えた樹木医の沢村信治は、諏訪湖の畔にある病院へ足を延ばした。沢村自身のホームページを通してメル友になった安住陽子を見舞うためだった。初顔合わせの緊張も解けた頃合い、陽子の母親が病室に入ってきた。その瞬間、金縛りにあったように動けなくなる沢村。そこに現れたのは、二十数年前、愛し合い、片時も離れたくないと思っていた美枝子だった―。55歳の樹木医と46歳の画廊喫茶の女店主。過去を引きずらずに互いの人生に向き合えるはずだったが…。情趣豊かな風景の中で燃えあがる恋情。恋愛小説の白眉。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
56
「恋愛中毒」の独りよがりの恋と違い、こちらは昔の恋に焼け木杭に火が付いた?。沢村と美枝子は結局娘の陽子に振り回されたのでしょうが、そこは分別ある大人として・・。いやぁやっぱり私、沢村の奥さん静子さんに気持ちが加担してしまうわ。うちの爺さん浮気なんてできなかった人やけど、こんなんで一緒に暮らすやなんて絶対嫌やわ。「恋愛中毒」の水無月と陽子が粘着シートみたいで被さる。恋って当人にはええもんやろけど・・遊びと家庭を分けな迷惑この上ない。恋を知らん婆の言うこと。ごめんやっしゃ(^^;。2023/03/11
K K
5
やはり藤田宜永いい!じわじわとくる読後感はさすが。後味の素晴らしい良いワインを飲んだような感覚。円熟した大人の愛。好きだから、あえて一緒に暮らさない。現状を壊さない。恋人のままでいる。なんかわかる。好きだから、結婚すればいいのではない。あえて一緒に暮らさないから続く恋もある。言わない二人、多くを語らない二人がいい。なんとも切ないですか、職業として植物を相手に生きる道を選んだ主人公の気持ちになんだか共感できる。なんとも色気のある作品。2016/08/13
じいじ
4
この作家の文体は好きだ。 読みやすい。 好きな作家のひとり。 作品ごとに主人公の職業がユニークなのもこの人の小説の特徴。 ここでは樹木医。 よく取材、資料収集されているのがわかる。 軽井沢のご自宅から東京へ来られた帰りには東京駅前の八重洲ブックセンターで大量の書物を購入する由。2014/05/10
ブルームーン
3
う~ん・・・主人公にまったく共感できない。所詮男性なんてこんなものなのか~。三枝子と娘の親子関係もよくわからないし。ダラダラと長くて途中で挫折しそうだった。2012/09/16
ねぎまぐろ
1
★★2025/01/12
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