内容説明
成熟の向こうになお存在する、愚かしくも愛おしい衝動を、時にシニカルに、時にエロティックに描く、篠田節子の最新短編集。
著者等紹介
篠田節子[シノダセツコ]
東京都生まれ。東京学芸大学卒業。1990年『絹の変容』で第3回小説すばる新人賞を受賞。97年『ゴサインタン―神の座―』で第10回山本周五郎賞を受賞。同年『女たちのジハード』で第117回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
52
篠田さんの本を手にするのは初めて。アンソロジーでは数編読んでいるのですが。純愛は何をもって純愛と呼ぶか。愛と言うくもの巣に絡まって身動きが取れなくなった男女みたい。思春期の初々しい純粋な恋愛とは程遠い。でも、心の奥底では誰にも汚されない思いのように自身の恋愛事情を慈しんでいる。タイトルだけを見て、純粋で真っ白な恋愛話を期待したのですが・・・あまりにストレートなタイトルだから・・・やっぱり裏目に出てしまいました。篠田さんの作風をもっともっと知りたくなりました。きっと心に沁みる恋愛話があるはず。2011/03/01
クリママ
38
表題作含む、4編の短編。「純愛小説」よくわからず何も言えない。「鞍馬」妹は姉の気持ち、恩を知る日が来るのだろうか。「知恵熱」両親と息子、ほほましい感じも。かつての職場の名前が一瞬出てきて、ちょと嬉しい。「蜂蜜色の女神」浮気などという言葉をしのぐ性愛。圧倒される。う~ん。2016/11/17
うさっち
28
甘さの全くない大人の純愛短篇集。唯一「知恵熱」だけは、息子の恋人に会った父親の心情が面白く描かれていて楽しめた。一番印象的だった「鞍馬」は母親の介護のために結婚もせず、自身も高齢者になり詐欺被害に会う女性の話で視点が本人と妹に変わるだけで随分内容が違って見え、彼女の人生がとても哀しく思えた。2016/01/13
あきまこ
19
四編263ページ、読むことを楽しめました。「純愛小説」、柳瀬の妻の気持ちはよくわかりませんでした。「鞍馬」、謎の落ち先がわからないのと、静子さんが憐れで、のめり込んでしまいました。タイトルを「鞍馬」にしたところが、余韻が残るというか、いろいろ考えてしまいます。「知恵熱」、父親の気持ちって、こうなんですね。深刻さは無く素敵なドラマを見るよう。「蜂蜜色の女神」、結局真相(和臣が希恵にのめり込んだ訳)はなんだったのでしょう。濃かったです。2015/06/19
kaizen@名古屋de朝活読書会
19
短編4話。 純愛小説 鞍馬 知恵熱 蜂蜜色の女神 鞍馬は、高齢者への詐欺事件。 知恵熱は、親子とも熱を出して賢くなっていく話かも。2013/03/09