内容説明
自己純化に至る、精神の劇。表現の未踏の領域を切り拓いた極北のエクリチュール。写真詩集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
高宮朱雀
12
彼の急逝後に読んだ一冊で、改めて奥付を見ると亡くなる少し前に発行されている。 今更ながらタイトルが意味深だ。まるで彼自身の心身状態のように、どれだけ必死にその瞬間を生き、言葉を紡ぎ、音を奏でても、それを上回る虚無感に潰され、全てが手のひらから無残に溢れ落ちては消えて行く、そんなイメージが浮かぶ。散乱も、生み出すという意味の産卵に掛けているんじゃないかと密かに思っている。 何も無い所から創り上げ、せっかく形になっても見えない恐怖から結局は自分で壊してしまう…その繰り返しだったんじゃないかとさえ感じられる。
耀
9
非常に難解。尾崎の撮った多くの写真と共に、それと関係しているであろう短いエッセイがいくつも載せられている。短い時間で読める一冊だが、晩年に出版されているが故に、読んでいて彼の孤独を感じさせる。2022/08/03
とろこ
3
尾崎豊の詩集。詩のコトバはもちろん、写真が心に染みる。写真って、その人の視線の先が形になったもの…そう考えるとなんかドキドキしますね。 歌手としては、有名どころを数曲知っている程度。でもかつて大好きだった人がカラオケで、「よーぉ聞いときや」と言って"oh my little girl"を歌ってくれたことはまだ忘れてない。2012/03/26
なる
2
若者のカリスマだとか反体制への旗手だとか抱かれていたイメージからはかけ離れた、内面へのベクトルへ向かう作品が多い。代表曲の内容とは被らず、それもまた彼の魅力を匂わせる秀逸な詩集。
中島 大知
1
彼が撮った写真と自作の詩が綴られた一冊。 昨夜彼の音楽を聴きながら読んだのだけれど、なぜだか尾崎がすごく近くにいるような感覚があった。目の前で語りかけられるかのように、詩が何度も反芻され、やがて融和していくようなあの交わり。それは真夜中といえどもはっきりと自覚できるものだった。もしかすると、自分は生まれてくる時代が少し遅かったのかもしれない、そんなこともふと頭をよぎったけれど、生きた時代が違うからこそ、惹かれるものがあるのかもしれないという考えも同時に生まれた。ここは想像するほかないのかもしれない。2022/01/23