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内容説明
初夏。京都の一角に冥官・小野篁が館長を務める「からくさ図書館」が開かれてから、半年と少し。開館から変わらぬアットホームな佇まいの中、現世で道に迷う“道なし”と出会ったお客様を、その解決法を記した不思議な書物“偽書”にて篁は今日も救う。そんな折、篁が耳にしたのは、ゆかりの地・隠岐に現れた旧知の“道なし”の話だった。そして、旅立った篁の留守を預かる新米冥官・時子は、自らの道を選びとり―。悠久の古都で綴られる、ほろ苦くも温かいライブラリ・ファンタジー、第三集。
著者等紹介
仲町六絵[ナカマチロクエ]
2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”を受賞。受賞作に大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミホ
81
ライブラリ・ファンタジー3作目!やはり京都の描写良いですね、と旅行した記憶を思い出しつつ。偶然にも寒天の話がでていまして、しかも琥珀とか羊羹とかそちらの方面に行きますし…最近見たぞこの描写(p_-)と、個人感想ありつつ。本作は小野篁の過去に触れまして(隠岐とか場所等々は実話だろう)読み進めてきて段々彼の素性に詳しくなってきている気がする。それと、作中にでてくる本は古い本なのであまり分からなかったりとまだまだ知らない本は沢山あるなぁ…と思った。今回もちゃんと良き終わりで良かった。2016/11/19
hirune
81
最初は時子に遠慮してかおとなしくしてた篁卿が、なんか変態とまではいかないけどすごく自由な人になった気がする^^;過保護でヤキモチ焼きなオヤジみたいだしね。曲亭馬琴や太田道灌の有名どころも出てきて、ちょっと歴史の知識が増えました。しかし八犬伝がそんな超大作だったとはビックリでした☆2015/04/29
ううち
77
第3弾。篁卿の過去を少し知ることができました。隠岐に流されていた頃の回想はなんだかちょっと切なかったです。時子様の嫉妬が可愛らしく、戻ってきた篁卿が手のやり場に迷うところが微笑ましい。和菓子職人と金魚屋さんのその後が気になります。2016/02/06
dr2006
65
連日、過去を塗り替える酷暑、第三集はちょうど夏の京都が舞台だ。その京都は盆地特有の気候に加え、多くの寺社の瓦屋根に蓄熱し放射することで暑さが増大するらしい(成程)。このシリーズは現世に惑う道なしを冥府へ送る要職にあり、私設図書館を営む冥官小野篁と時子の物語だ。現世での姿と活動に慣れてきた二人にも、昨今の暑さは相当応えているだろう。連作各編とも古典がモチーフにされてるが、自分は古典が苦手なので(引用略:古典原文を読むと、文字の上を目が滑っているみたい)との表現に激しく感銘を受けた。次集二人の今後が気になる!2018/07/23
ゆかーん
57
「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り舟」この和歌は小野篁さんが作ったもの。今から1200年前、藤原常嗣が遣唐使として渡航した際に船が壊れたため、篁さんに船を貸してと頼んだのですが…。篁さんがその頼みを断ったため嵯峨上皇の怒りをかい、隠岐諸島へ流刑されてしまった事件がありました。その悲しい事件を表現した和歌とのこと…。三話での隠岐の旅行でも、船が壊れていることを瞬時に察知し、未然に事故を防いだ篁さんですが、きっと過去の自分の二の舞にならないように教えてくれたのでしょうね(笑) 2015/11/05