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内容説明
「奈緒。わたし、可愛い?」京本奈緒は、嘘が嫌いだ。その潔癖とも言える『嘘嫌い』のせいで親しい友達も少ない。だが唯一、天城紅美子だけは中学校からの親友と呼べる存在だった。紅美子は奈緒が知る限り最上の美少女だが、過度の寂しがり屋と浅慮な言動のため同性から嫌われていた。そして事件は唐突に起きてしまう。闇夜を歩く時槻風乃に出会い、二人の少女の間に黒い影が落ちて―。「白雪姫」「ラプンツェル」など、現代社会を舞台に紡がれる恐怖の童話ファンタジー。
著者等紹介
甲田学人[コウダガクト]
1977年、岡山生まれ。津山市出身。二松学舎大学卒。民俗学および魔術に関して知識を豊富に持ち、『Missing神隠しの物語』で電撃文庫デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白火
50
相変わらずのがっくんクオリティに大満足です。こうやって斜めから切り込む人の心のある種の真理、こういうの大好きだ。…これ、一応断章外伝の筈だけど、ああいう異能よりもこっちで焦点が当たるのは人の心を狂わせる“怪異”…つまりMissingの方が近い気もする。野良猫惨殺事件があった、ってことはラプンツェルの話は金の卵の話よりも後…?しかし読むにつけ風乃は何をどうして亡霊状態ではああいう性格やってるのか(最終巻の描写見るにあれは演じてる感じする)がしみじみ謎。こっちも続けばそのうちその辺触れられるのかな。2014/08/07
た〜
40
「断章のグリム」のスピンオフ作品だが断章のグリムよりわかりやすく、エグみの強さも磨きがかかっている。2016/09/19
Yobata
39
風乃の童話2作目。今回は白雪姫とラプンツェル。白雪姫はなんて報われない話なんだ…タイミングといい何から何まで本当悪く進んでいってしまった感じ。断章でもラストを飾った超メジャー級の童話の中でも妃と鏡について言及した今回の話は興味深い。確かに親愛なる相手が傷付くとわかっていても真実を言わなければいけない運命の鏡であった奈緒の悲劇は計り知れないだろうね。風乃の「嘘は悪ではなく、優しき麻薬。生の痛みを和らげ腐らせる麻薬」という表現は印象的。森野が序盤から関わってただけにこんな結末になってしまったのは残念。→2014/07/25
そのぼん
28
黒い・・・。童話をモチーフにしたブラックな話が二話収録されていました。でも、こういう『黒さ』は嫌いじゃないです。嘘がつけない少女が主人公の『白雪姫』と、とある事情で男性恐怖症になった少女が主人公の『ラプンツェル』、両方とも痛くて暗い話でしたが、何だか考えさせられる部分もありました。読み進めていくうちに、彼女たちの『歪み』みたいなのが見てとれて暗澹たる気分になりました。2014/09/21
さくら@2次元
26
前巻より残酷な場面が少なく、痛々しいのが苦手な自分には有難い内容でした。しかし最後は救いようのない結末に、心が痛みました。どうしたら免れるのだろうと考えてみたけど、最終的には生まれ持った環境だという結論になってしまいました。風乃の童話を違う視点からみるところが大好きです。納得させられるし、他の童話を違う視点でみたくなりました。2014/08/09