内容説明
この子をノーボディと名づけよう―。ある夜、一家が殺害された。たったひとり、生き残ったよちよち歩きの赤ん坊が迷い込んだのは、真夜中の墓地。この日から、墓地の幽霊たちの愛情溢れる、世にも奇妙な子育てが始まった…。幽霊に育てられた少年の冒険と成長を描き、カーネギー賞とニューベリー賞をダブル受賞した、ゲイマンの最高傑作。
著者等紹介
ゲイマン，ニール［ゲイマン，ニール］［Ｇａｉｍａｎ，Ｎｅｉｌ］
イギリス生まれ。アメリカンコミック「サンドマン」の原作者としてあまりに有名。世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ブラム・ストーカー賞など数々の文学賞を総なめにする、今、もっとも注目される作家。『墓場の少年―ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』でカーネギー賞、ニューベリー賞を受賞した
金原瑞人［カネハラミズヒト］
岡山市生まれ。法政大学教授。翻訳家。海外作品の紹介者として不動の人気を誇る（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
70
【オール・バロウズ・イヴ ファンタジー読書会】惨殺された一家のただ一人の生き残りの赤ん坊が墓場に迷い込み、幽霊たちに育てられる。墓地内での冒険、生きた少女との触れ合いなど、ボッドの墓地内外でのエピソードが描かれていく中、かつてボッドの家族を惨殺した不審者が、再び動き始める。今も闇に紛れて存在する、キリスト教以前の古い霊たちや魔女たち。そんな生きている人間以外の存在が多数登場するファンタジーも、イギリスが舞台だといかにもありそうに思えてしまうから不思議だ。2021/10/31
seacalf
68
良作。謎の人物に家族を殺められた赤ちゃんが四つ這いで迷い込んだ先の墓地で、幽霊たちと人間でもない後見人に育てられるという奇想天外な物語。様々な時代の死者達が登場し、主人公ポッドの父母になり先生になり友達になり助言者になってくれる。この設定だけでも他に類のない面白さだが、人間の女の子との交流や魔女と仲良くなったり、人間の学校に通ったり、食屍鬼に攫われたり、殺人者ジャック達との攻防など見どころがたっぷり。死者と街の住民がペアになって踊る第5章死の舞踏のシーンは幻想的な風景が目に浮かぶ様でとてもお気に入り。2023/11/30
ケロリーヌ＠ベルばら同盟
66
理由あって、天涯孤独になってしまったよちよち歩きの赤ん坊は、たどり着いた墓地で亡者たちによって育てられることに。生前子供に恵まれなかったオーエンズ夫妻の養子となり、ノーボデイと呼ばれる男の子は、墓場の住人たちから愛され、墓石に刻まれた墓碑銘で文字を覚え、古の人々から歴史を、尊い人々からは礼儀作法を学び、奇妙な生活ながらも健やかに賢く成長していきます。自我が芽生えたボッドに迫る魔の手。後見人というより守護神のようなサイラスとミス・ルべスクの献身。手に汗握るサスペンスと、滴るような愛情に心鷲掴みにされる物語。2019/08/22
春一番
63
人間は旅の終わりに墓場にたどり着くが、少年の旅は墓場から始まる。これは少年が墓場から旅立つまでの物語。ハロウィンに読みたい一冊。両親を殺された赤ん坊を墓場の幽霊たちが育てる。普通の子供が教会で学ぶ代わりに墓場で学ぶ主人公はキリスト教的な世界とは別のあり得たかもしれないもう一つの時代の後継者なのかもしれない。章ごとに話に一応の区切りがつくので一気に読むより１章ずつ読み進めていくのがおすすめ。 一巻で終わらせるのはもったいない気も。もっと掘り下げてほしいキャラクターがいっぱいるし、シリーズにして欲しかった。2022/08/21
ちょろこ
63
装丁、ストーリーに惹かれた、一冊。墓場で幽霊たちに育てられた少年ボッドの物語、それはまさにファンタジーの世界。装丁が醸し出す雰囲気と共に一気に惹きこまれた。成長するにつれ外の世界への憧れと危険に葛藤するボッドの心情がせつなかった。多くの力を費やしボッドを守り育てる墓場の住人たちはもちろん、サイラスの言葉はいつも愛情が溢れていて良かったな。ラストの母が歌うシーンは秀逸。歌詞ひとつひとつにたまらなく胸を打たれた。2017/08/22
