内容説明
神秘と怪異に溢れた幽玄な物語の数々。ラフカディオ・ハーンと同じく「お化けの国」日本を探訪していた博物学者ゴードン・スミスによる「まぼろしの書」が、壱百年の時を経て蘇る。
著者等紹介
スミス,リチャード・ゴードン[スミス,リチャードゴードン][Smith,Richard Gordon]
1858~1918年。博物学者。冒険家。日本に長く滞在し、各地の風俗、民話(怪談)の研究に従事する
荒俣宏[アラマタヒロシ]
1947年、東京生まれ。慶応義塾大学卒。膨大な知識を駆使して、古代文明からネット・カルチャーまで多岐にわたるジャンルで文筆活動を展開。『帝都物語』(角川文庫)で一世を風靡する
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感想・レビュー
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keroppi
65
読友さんのつぶやきで気になって読んだ。ラフカディオ・ハーンと同じ頃、日本にいたイギリス人。博物学的な視点から日本の民話や伝承を書き留め、日本人画家に挿絵を描かせた。表紙絵のように妖怪がたくさん出てくるわけでもなく、怖いわけでもない。人間の愛憎や子宝を望む心が生み出した怪異譚と言えるだろう。ラフカディオ・ハーンの文学性とは違うが、このように外国人により残された記録は、実に貴重であるし、それを発掘し編訳した荒俣宏の功績は大きいと思った。2022/08/20
ニミッツクラス
29
01年(平成13年)の税抜1900円の単行本初版。カバーは絵師蕪雪による百鬼夜行図だが、内容的には本書とは関係ない。怪異幻想文学をものしたハーン(八雲)と同時期に日本に居住し、大英博物館の後ろ盾のある富裕なスミスの伝承博物記から16編を荒俣氏が編訳で抽出。お抱えの日本人絵師(特に白水)による挿画が圧巻。西洋の悪霊と違い、誰彼構わぬ不条理なタタリ話はほぼない。“安珍と清姫”の元ネタとスミスが考証した琉球民話「白羊塚」などが興味深い。因果応報や男女の愛憎絡みが怪異の端となるのは世界共通なのだね。★★★★☆☆2022/08/12
みや
23
イギリス人博物学者が明治初期に日本各地で収集した怪談奇談250余編から選ばれた16作を収録。残念ながら気味悪さや怖さは薄い。全体にあっけらかんとしているのは著者の気質か、翻訳者の狙いか。今までに聴いたことのない話ばかりなのに馴染み深く感じるのは、何とも不思議な感覚だった。伝承の根底に通ずるものは似ているのだと改めて思う。そして何より富豪の著者が日本人絵師に書かせた美麗な挿絵がおどろおどろしくて大変素晴らしい。『猫塚』と『帰ってきた名刀、幸丸』が好き。調べてみても幸丸という刀は見つからなかったので気になる。2020/03/09
SKH
4
埋もれていた上質資料。200X。2013/10/10
ゆずこまめ
3
ハーン以外にもこういう人がいたのかという新鮮な驚き。全然知らなかった。文学者のハーンと博物学者のこの人とはまた趣きが違って、怪談もまた違う雰囲気。2023/12/10
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