出版社内容情報
歌・ことばとイメージの交響が日本美術をかたちづくった!その系譜を描く。近代以前の日本美術は、ことばによる文芸と造形イメージとが一体となった、世界的にもまれな芸術空間をかたちづくってきた。日本美術が文学とイメージとが常に相関しながら発展を遂げてきたことを、平安、鎌倉、室町、桃山から江戸後期にいたる、それぞれの時代での特色ある造形作品を例に掲げつつ例証。そこでは文字そのものによる表現や和歌文芸の内容があからさまに示されたり、留守文様のように隠されたり、あるいは葦手絵のように絵の中に侵入するなど、視覚的にも変化ある美の表現が追求されてきた。この近代以前の芸術空間を、単なる概説的な記述ではなく、作品の美質を描きつつ解説。とくに表現の極みともいえる室町の硯箱や、宗達・光悦コンビによる和歌巻などの代表的な優品については、詳細にその特性と素晴らしさを描き出す。
はじめに――心に残る三つの展覧会から
1 屏風のなかの歌と絵
(1)「明正院七十賀月次図屏風」(円照寺蔵)
(2)姫君のための屏風絵の系譜
(3)やまと絵屏風の発達と和歌
2 器や道具のデザインと和歌
(1) 蘆手と歌絵の発達
(2) 蘆手と歌絵のさまざまな実態――平安貴族の絵心と遊び
(3)漢字と仮名のデザインの展開――鎌倉から室町の蒔絵
3 近世前半における書と画の協働
(1)書画屏風の登場
(2)色紙短冊の意匠による書画屏風
(3)光悦書と宗達画のインタラクション
4 都市に遊ぶ歌とデザイン
(1)歌と文字をまとう着物と焼物
(2)文字を使いこなす達人――鈴木春信、葛飾北斎、酒井抱一
(3)江戸前の王朝人たちのチーム制作
おわりに――愉しみ、学ぶ人のために
玉蟲 敏子[タマムシ サトコ]
1955年東京都生まれ。東北大学大学院博士課程前期修了。博士(文学)、日本美術史専攻。静嘉堂文庫美術館主任学芸員を経て、武蔵野美術大学造形学部教授。酒井抱一を中心に宗達・光琳の流れを探究。主な著書に『絵は語る13 夏秋草図屏風』(平凡社、第16回サントリー学芸賞)、『都市のなかの絵』(ブリュッケ、第16回國華賞)、『生きつづける光琳』(吉川弘文館)、『俵屋宗達』(東京大学出版会)など。
内容説明
ことばや文芸、とりわけ和歌は日本美術にどう関わってきたか。文字が絵のなかに侵入する蘆手や歌意をモチーフとして視覚化した歌絵、色紙形を貼り交ぜるなどの書画屏風、宗達画に光悦書の和歌巻、乾山の書画陶器、小袖の絵文字デザインなど、和歌によるイメージの共有と視覚化が日本美術の大きな水脈をなしてきた。この世界的にもまれな知的で洗練された画文交響の造形芸術、ことばとイメージのインタラクティブな美の系譜を描く。
目次
はじめに―心に残る三つの展覧会
1 屏風のなかの歌と絵
2 器や道具のデザインと和歌
3 近世前半における書と画の協働
4 都市に遊ぶ歌とデザイン
おわりに―愉しみ、学ぶ人のために
著者等紹介
玉蟲敏子[タマムシサトコ]
1955年東京都生まれ。東北大学大学院博士課程前期修了。博士(文学)、日本美術史専攻。静嘉堂文庫美術館主任学芸員を経て、武蔵野美術大学造形学部教授。酒井抱一を中心に宗達・光琳の流れを探究。主な著書に『絵は語る(13)酒井抱一筆 夏秋草図屏風』(平凡社、第16回サントリー学芸賞)、『都市のなかの絵』(ブリュッケ、第16回國華賞)、『俵屋宗達』(東京大学出版会、第63回芸術選奨文部科学大臣賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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