角川選書<br> 梁塵秘抄の世界―中世を映す歌謡

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角川選書
梁塵秘抄の世界―中世を映す歌謡

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  • サイズ B6判/ページ数 288p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047034594
  • NDC分類 911.63
  • Cコード C0392

内容説明

平安末期に大流行した歌謡、今様とはなにか。熱狂的に今様を愛好した帝王・後白河院の編んだ『梁塵秘抄』の世界は、当時の新たな世相を反映して、極楽往生をとげた極悪人に関心を寄せ、地獄を訪う地蔵を頼む信仰心、都のファッションや新奇なものを追う好奇心、動物や昆虫までも愉快な仲間とみなす童心にあふれていた。現実を明るく謳歌する自由でゆたかな歌謡の世界から、中世の躍動する精神が見えてくる。

目次

1 『梁塵秘抄』概説(今様の流行と『梁塵秘抄』の成立;撰者・後白河院)
2 『梁塵秘抄』を読む(信仰の世界―堕地獄への諦念・悪人への共感;恋の世界―解釈の多様性・配列の妙;王朝的美意識への反逆―躍動する動植物;都市の賑わい―雑踏する人々・芸能の熱狂)

著者等紹介

植木朝子[ウエキトモコ]
1967年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科単位取得満期退学。博士(人文科学)。同志社大学文学部教授。専攻は中世歌謡。著書に、『梁塵秘抄とその周縁―今様と和歌・説話・物語の交流』(三省堂、日本歌謡学会志田延義賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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bapaksejahtera

13
院政期頃から流行し、後白河上皇登極前から熱中した今様。上皇がそれ迄の歌謡を集成して編んだ勅撰集が梁塵秘抄である。歌謡集10巻と口伝10巻からなり、長く埋もれていた物が、明治末年になってその各一巻と断簡が発見された。よって今日その全体を知ることは出来ない。同じく詠唱される事が古くは基本だった和歌が、定型詩故に長く命脈を保ったのに対し、自由なメロディの歌謡として各層に愛好された今様の魅力は復元が困難である。しかし今様は二百年余の流行を保った。限られた資料に基づき当時の世を魅了したその文芸と社会を紹介する良書。2023/04/05

おゆ

10
愛読書の一つ、荻原規子「風神秘抄」のためにいつか読もうと思っていた。原典に触れて驚いたのは、「風神」のファンタジー要素が根のないものでは決してなかったということ。本書のⅡ第2章「信仰の世界」で語られるのは、今様を愛した人々がそれにどれだけの祈りを込めていたかということ。生きるための殺生を罪と捉え、地獄行きを念頭に置いた上での、地蔵菩薩への信仰と提婆達多への親和。道を究めることは悟りへと通ずると信じた彼らと、そこに舞い降りたいくつかの奇跡。それをファンタジーと呼ぶのはとてつもなく失礼なのだろうけれど。2017/08/21

秋色の服(旧カットマン)

4
今頃になって古典の重要性、面白さに気づいてしまい、このような所へ。もう亡くなった桃山晴衣という人の梁塵秘抄のCDを聞いたりしているのです。梁塵秘抄がJポップの源流だなどとう言われ方もしたりするけれど、本書を読むと半分は仏教の信仰に関する内容だそう。◆今年の目標としては本書、P35にあった今様の楽譜、邦楽の記譜法を何とか読みこなせるようになりたいのです。図書館で浪曲の入門をめくってみたら、このような譜面が書いてあった。また文献をあさってみよう。2018/02/04

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