内容説明
中国の「情」には、日本とは異なる多様な意味が含まれている。男女の情、人情、親子の情、兄弟の情、友の情など、人間関係の基本的な倫理は、いずれも微妙にニュアンスの異なる「情」ということばで表現されてきた。この人間関係の情愛をめぐる多様な「情」の観念は、古代から宋、明・清の時代まで、どのようにとらえられ表現されてきたかを、詩歌、小説、思想書を通じて文化史的に明らかにし、中国人のメンタリティーのありかを描く。
目次
第1章 「情」という観念
第2章 詩に詠まれた「情」
第3章 恋の情緒としての「情」
第4章 「人情」まんだら
第5章 友情の虚々実々
第6章 兄弟の情、親子の情
著者等紹介
張競[チョウキョウ]
1953年、中国上海生まれ。明治大学教授。上海の華東師範大学を卒業、同大学助教を経て日本留学。東京大学大学院比較文学比較文化博士課程修了。國學院大學助教授、ハーバード大学客員研究員などを経て現職。専攻は比較文化論。主な著作に『恋の中国文明史』ちくま学芸文庫(第45回讀売文学賞)、『近代中国と「恋愛」の発見―西洋の衝撃と日中文学交流』岩波書店(1995年度サントリー学芸賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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