内容説明
『源氏物語』などの王朝物語には唐物といわれる舶来ブランド品が数多く登場する。陶磁器・ガラス・布・香料など、王朝生活を彩る美しい舶載品は高価で入手しにくく、入手できるかどうかは権力とのかかわりによって大きく左右された。物語の登場人物がどんなブランド品を使うか、誰にどういうブランド品を贈るか、地位や性格によって効果的に書き分けられた。ブランド品をキーワードに王朝物語世界を読み解く。
目次
唐物は王朝生活の必需品
平安の交易ルートその一―渤海国交易
平安の毛皮ブーム―黒貂の皮衣
まぼろしの陶磁器―秘色青磁
平安の交易ルートその二―大宰府交易
紫式部の情報源
美しきガラス器
平安のフレグランスその一―『うつほ物語』と『枕草子』
平安のフレグランスその二―『源氏物語』の世界
舶来の紙の使いみち
舶来ブランドのコスチュームその一―男性の衣装
舶来ブランドのコスチュームその二―女性の衣服
平安のインテリア
舶来ペットの功罪
著者等紹介
河添房江[カワゾエフサエ]
1953年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、東京学芸大学教授、一橋大学大学院連携教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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宇宙猫
17
パラパラ。歴史的背景などが詳細すぎて気力が続かない。面白い題材なので、もう少し気楽に読める内容だとよかった。2022/09/24
Noelle
6
国風文化と言われた平安の時代は、舶来ものの宝庫だった。唐衣は唐綾や唐の綺というまだ日本では作れない織物だし、末摘花御用達の黒貂の皮衣はなんとロシアンセーブルですって。秘色の青磁や瑠璃の壺は大宰府の交易により到来した貴重で高価なもの。瑠璃も宋由来の繊細なものと大ぶりなイスラムグラスかあったり。そして貴族の嗜み、薫物の香料は全て外来品、いかに平安貴族が中国との交易により得ていたもの大なるかがわかる。唐の紙に唐製の調度品、唐猫まで!源氏の世界は舶来ブランドに満ちた、まさにセレブの生活が描かれていたわけです。 2019/12/17
もち
2
めちゃくちゃおもしろかった! 出てくるモノが源氏物語の世界をより魅力的にしているんだな。2024/01/20
びっぐすとん
2
図書館本。舶来品に弱いって日本人のDNAなんだな。その中でも流行遅れのブランド品はかえってダサイというのも今と同じ。現代と違って輸入先が限られる当時は、ホント貴重品なんだろうなぁ。ブランド品の難しさは今も変わらないな。さんざんこき下ろされる末摘花が可哀想になった。貧しくて燃料とかも不自由してただろう彼女には毛皮は必需品だったろうに・・。まぁ現代でもいくら高価でも、今どき毛皮なんて流行らないけどね。同じ唐物づくしでも、宮家の末摘花はセンスゼロで、受領階級の明石の君はハイセンス。いろんな意味で対極の2人だな。2016/10/07
amr
2
軽いノリの本かと思ったらちゃんとした(?)本やったwけどすごいおもしろかった~!源氏物語以外の王朝文学からの引用(もちろん訳も)もあって、平安時代の舶来品や交易についてたくさんの知識を得られた。源氏物語への理解も深まった気がしてる!2013/08/10