内容説明
日本人の死生観は、武士道的死生観だけではない。仏教以前からの、霊魂を不滅とする再生信仰があり、霊魂の供養とその儀式がある。もっと深いところに日本人の死生観の根本が根ざしていたといえる。本書は、民俗学の視点から、庶民の文化と精神の基層まで掘り下げ、あたらしい鉱脈を掘り当てることによって、はじめて日本人の霊魂観と死後の世界観をあきらかにする。
目次
日本人の死生観
日本人と死後の世界
みちのくの神秘・恐山―その歴史と円空仏
口寄せ巫女
怨霊と鎮魂
死と信仰―補陀落渡海の謎
古来の葬送儀礼から見た現代の葬儀と葬具
仏壇
墓の話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
26
土俗的な宗教意識はその国の風土や気候などに左右されます。 山が多く温暖湿潤の国柄の元、多神教的自然信仰と死後の世界観が形づくられてきました。その後、仏教や道教、神仙思想などと習合しながら、今日の神への信仰(司馬遼太郎氏によると国家神道は「鬼胎」)があるように思います。著者は靖国アレルギーは両者の混同によるものとし、素朴な祖霊崇拝と鎮魂の心のやり場がないことはおかしいと述べています。 国家による統制とは違う形の自ら湧き出でる宗教観(死生観)を振り返ってみることが必要ではないかと思います。 2019/02/19
Da sein 治
0
日本における「死」を考えるとき、インドから大陸を経た仏教だけでは説明が付かぬ点がある。2025/06/22
Junko Yamamoto
0
両墓制とその背景が日本人独特の死生観に基づき、前方後円墳にまでつながる。わかりやすい。 モガリ、死が汚れであるとの考えがどこから来たのか、つきとめたい。弥生時代からか、縄文時代からか。。2019/01/15
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