内容説明
風景を素材とした内省的で静謐な崇高の美を謳う、ドイツ・ロマン主義の画家フリードリヒの絵画。独特の宗教観と世界観が表出されるこれらの作品群を文字どおり訪ね歩き、画家の足跡を追いつつ、モチーフとなった現場に立ち、鑑賞者としての感動と重なり合う共感をもとにその崇高の美に寄り添い、みずからの感性をよりどころとして、その高い芸術性を言葉を尽くして描き出す。一九世紀前半の激動の時代を生きたフリードリヒの絵画にひたすら向き合うことで、画家の生涯と絵画の深い精神性に迫る、渾身の美術評論。
目次
1 「二〇世紀ドイツにおける芸術の一世紀」
2 ベルリンから北へ
3 カスパー・ダーフィット・フリードリヒ
4 悲劇の誕生
5 エルベ河渓谷
6 ドイツ・ロマン主義
7 島の断崖
8 氷の海
9 黄昏
10 冬をよぎる人
著者等紹介
小笠原洋子[オガサワラヨウコ]
1949年東京都生まれ。東洋大学文学部卒。京都・日本画・現代陶芸画廊勤務、東京・弥生美術・竹久夢二美術館学芸員を経て、フリー・キュレーター。美術エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
52
【内省的で静謐な美を謳う風景画家・フリードリヒ】美術エッセイストが、<フリードリヒの研究書や評伝というより、この画家の絵を観るたび溢れる共感を、懸命に文字に伝えよう>と、その作品群を訪ね歩き、モチーフとなった現場に立ち、画家の足跡と芸術性を描き出す。カラー口絵2点は「樫の木の修道院」「海辺の僧侶」。本編に白黒作品図版多数。巻末に参考文献と略年譜。わたしが画家を知ったのは、半世紀前雑誌に載った「海辺の僧侶」で、以来一番好きな画家となった。著者にとっては、「樫の木の修道院」を画集にて見つけたのが出会いだと。⇒2023/04/12
Jirgambi
1
カスパー・ダーウィド・フリードリヒの評伝。前から気になっていた画家。ちょくちょく筆者の個人的旅行の回想も交じりますが、フリードリヒの生涯について最低限の知識は得られます。一見ただの風景画の様で、実は作者内面の心情を発露した「結果」であり、窓の桟=十字架の暗示、という指摘は面白く思えました。いわゆるロマン主義、ドイツ表現主義の走りに当たる画家でしょうか。個人的には何や知らんけど、東山魁夷の画と相通ずる気がしました。2020/09/10
メルセ・ひすい
1
評伝 ドイツロマン派 焼失画が多い。2009/11/29
Zen-zen
0
フリードリヒの作品に込められた高い精神性を鋭く読み解き、それを言葉で美しく表現する著者に脱帽。ぼくもフリードリヒの絵画は大好きだけど、ここまで美しく文章で表現はできない。2011/01/12
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