出版社内容情報
二〇二四年一月二十五日。
うちの犬が死にました。
うちの犬の話を聞いてください。
深く心に傷を負った小学6年生のロンズは、母の「犬、飼おうか」という一言がきっかけでトイプードルのサンテと出会う。
家族になってともに大きくなって、言葉は通じないはずなのに心は通い合って、だけど犬は先に老いてゆく――
介護、看取りはしんどかったはずなのに、それでも楽しかった記憶しかない。最後まで愛おしかった、サンテと過ごした十余年の記録。
カクヨムWeb小説短編賞2023(エッセイ・ノンフィクション部門)短編特別賞受賞作、感動のコミカライズ!
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田鶴
2
愛犬と心が通じるってこういう事かと思いました。人は犬と言葉を交わせるわけではないけど、肥前さんとサンテは確実に心が通じていました。肥前さんがサンテの気持ちを人に置き換えて考えてかつてのトラウマを乗り越え、人間関係を豊かにしていった過程がよく分かりました。老犬になった後のサンテの世話はとても大変そうでしたが、肥前さんにはそれまでの信頼関係からサンテの気持ちが分かるんですよね。介護する間に別れへの覚悟が固まっていったのでしょう。だから最後は暗くありません。やり切った充実感と愛しい思い出であふれています。2025/07/19
加藤伊織
2
本文を開いた瞬間に、殴られたような衝撃を受けた。私は10ページまで辿り着かずに泣きました。 動物と一緒に暮らした人なら知っている「いつか来る別れ」が、この本の根の部分にある。もう帯にも書いてありますけどね! リアルを抉りながら、生死を受け止める覚悟に愛情がある。 むぴーさんの絵がとても表情豊かで、人間の気持ちと犬の気持ち、どちらもはっとします。 言葉が話せるのに心が通じ合わない人間、言葉は話せないけども心が通じる動物……。ただの感動物でそんなエグい話描かないでしょ? 最後は泣きながら笑うと思います。 2025/06/18