感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わいほす(noririn_papa)
5
友人の歌集。同じ時代を生きているからこそ感じる共感がある。たとえば碓氷峠にストローハットを思い、カリオストロの城を熱く語る男がいたり。社会に向けた歌も多いが、私はさりげない場面に物語を感じる歌が好きだ。故郷に帰る男に「珍しくスーツ着ていつもより酔って定番のような故郷の話」、大人になった幼馴染の「自転車の少年きみは喪主として妻送るべく壮年の顔」など。でも一番好きなのは、ふと孤独感に襲われたとき、見つけたけやきに遠き日のあのひとを感じた一連の作品。「いろづけるあなたの指の先からは光こぼれる抱かれにゆこう」2014/09/05