内容説明
万葉のむかしから連綿と受け継がれる日本人の美意識。それはどのようなもので、暮らしの中でどのように育まれたのか。風土が生み成した作品群、わけても国民詩である和歌や短歌・俳句を手がかりに、文化の根底を深く豊かに描き出す。世界中でただ一つ“亀が鳴く国”日本。その文化的特質をあまねく明かす、万人必読の書。
目次
日本の風土と文化
1 詩は心の器(伝統詩の文体;和歌の身体性;俳句の虚 ほか)
2 自然は体の揺籃(桜と梅の歴史;花と人のいのち;花と心の交響 ほか)
3 ことばは人間の証明(種田山頭火;永田耕衣とF.カプラ;石原八束 ほか)
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
1929年東京都生まれ。東京大学大学院修了。国文学者、文学博士。『万葉集の比較文学的研究』により読売文学賞、日本学士院賞を受賞。古典から現代にわたる日本の文学・文化に精通し、大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞、奈良テレビ放送文化賞ほか受賞。日本ペンクラブ副会長。文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あいくん
14
☆☆☆「令和」記念で中西進さんの講演会が太宰府で開かれることになりました。中西進さんの講演会のために中西進さんの著作を何冊か読みましたが、コロナウイルス騒動で中止になってしまいました。中西進さん講演会は参加するつもりでしたから、残念です。 中西さんの年齢を考えると次の機会があるかどうか厳しいかもしれません。わたしは2012年3月に鳥栖で開かれた日本ペンクラブのイベントで中西進さんのお話は聴いています。 このときは浅田次郎さん、高樹のぶ子さん、新井満さんも話をされました。 2020/02/26
てら
6
題名からなんてことを仰る方かと思ったけれども、中身はとても真面目であって、興味深く読み進められた。様々な句が取り上げられているが、なるほど、そう解釈すれば良いのかと句を読む視点を与えられた。「虚に遊ぶ文芸こそが俳句」であると言う。俳句俳諧のもつ滑稽さはこの言葉にも表れているのだろう。桑原武夫氏による「第二芸術」は知らなかった。俳句の無名性を指摘しているそうだ。こちらも要確認。あと、枕詞についての考え方も面白かった。呪性をもつものが原型だという。また、枕詞がソシュールの連辞、範列とも関わるという。2023/11/27
れいまん
2
この度、英訳が出たということで読んだ本。 2010年に書かれている。亀が鳴く国については、「虚に遊ぶ文芸こそが俳句」 文学部の志願者が激減しているのは、専門家が難しくしているから 「枕詞とは、一種の神話体験」呪言性を強く認める 柿本人麻呂は、真珠の輝きを「玉かぎる」という内部から匂い出るような輝きを言う 万葉びとは、花は常に女とイコール2022/06/09
不以
1
海外で俳句ブームがあったんだぜとは聞いた話だが、詳しく聞きもせずに軽く馬鹿馬鹿しく思っていたが、これがなかなか綺麗じゃないかと思えた。2013/04/19
takao
0
ふむ2025/02/16