内容説明
世阿弥の神秘の扉を啓く。草木国土悉皆成仏。鴬も蛙も、桜も歌をうたう。風の音も歌。雨の音も歌。石も、日月さえも歌を詠む。歌とは神仏への祈りの言葉。梅原猛が世阿弥の能に、心優しい日本の原思想を発見。
目次
1 世阿弥前章(「通盛」―入水の美学;「鵜飼」―殺生、悪と救済;「阿漕」「善知鳥」―殺生人の地獄 ほか)
2 世阿弥と天台本覚思想(「高砂」―住吉明神という“神”;「西行桜」―桜の精の語り;「当麻」―継子譚・阿弥陀・曼荼羅 ほか)
3 世阿弥の修羅(「実盛」―虫になったサネモリさん;「頼政」―老の花;「清経」―髪と神のものがたり ほか)
著者等紹介
梅原猛[ウメハラタケシ]
哲学者。大正14年(1925)、宮城県に生まれる。生まれてすぐに愛知県知多半島の内海の名士で、梅原一族の頭領である伯父夫婦の養子となり、京都大学入学まで海と山に囲まれて過ごす。哲学から仏教の研究に入り、その間に『隠された十字架』(1972)、『水底の歌』(1973)を執筆。その後、縄文・アイヌを研究。「梅原日本学」を確立。現在、「梅原学」確立のため、中世の文学・芸能としての「能」の研究に入る。国際日本文化研究センター初代所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。