感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
練りようかん
18
日記エッセイ『ちょっと踊ったり〜』が面白かったので手に取った。武田百合子さんの『富士日記』を引用し、それにまつわる文をつけたリスペクト日記文学。表題作はじめ食事の量に驚かされ、メニューの取り合わせも子ども対策も枠の大きさを感じる昭和の構わなさが瑞々しく逞しい。“もぐっと食べる”など著者の表現は的確な溶け込み度合いが素敵で、武田さんは“シューシューと息をして食べる”など脳が追いつかない引っ掛かりが魅力的。一粒で二度美味しい的な楽しさがあった。特に好きなのは「車の中で食べなさい」と「食べ物に追われたい」。2025/07/19
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
15
『富士日記』の代表的な名フレーズではなく、あえて皆が思い浮かべるような名場面、名フレーズを外した『富士日記』名フレーズエッセイ集。細やかな視点と受け止めが古賀さんらしい。2025/05/17
ぽけっとももんが
14
不思議なタイトルである。急におかわりといわれても困るよ、だと助詞がおかしい。その心は「二皿めを食べていたら急にいやになって、残りは明日の犬のごはんにやることにする」という「富士日記」の抜粋である。抜粋?「おかわりは急にいや『になる』」ですな。「富士日記」は勧められて上だけ読んだ。昭和感があって人さまの家を覗くようでおもしろかったけれども上だけで充分。でもこの本を楽しむための準備だったのだな。わたしも5年日記をつけているけれども、3周目くらいからおもしろくなってきた。同じ時期に同じようなことをしている。2025/08/19
凸凹パレード
9
武田百合子『富士日記』を踏まえてのエッセイ。着眼点がすごい。人の日記を噛み締めて味わう不思議。どこか文章が面白い古賀及子は、令和の武田百合子だったのだな。『富士日記』チャレンジしてみるか。2025/07/06
uchiyama
4
大好きな作家について、今、毎回次作をとても楽しみにしている作家が書いた、というので、期待しかなかった本ですが、たしかに面白かったのだけれど、いかにも、な切り口ばかりにも思え、また、武田百合子のまったく無駄のない言い切り方が天才的すぎるんで、何をどう付け足しても蛇足になってしまうのかもなぁと。富士日記の凄味の前では、ネットから書き始めたことによる個性ではあると思うけれど、どうしても、もっと批判を恐れずにいけ、つまりは「エッセイスト」になった「気づいたこと〜」のような強さがほしい…と、勝手なことも思いました。2025/08/04