内容説明
2003年の鹿児島県議選に絡む公職選挙法違反容疑で15人が逮捕された志布志事件は、公判中から「踏み字」強要をはじめとする鹿児島県警のでたらめな捜査内容が数々明らかにされ、2007年に被告全員が無罪となった。しかし、「闇」がすべて暴かれたわけではなかったのだ―。公判中からこの事件の調査報道を指揮した著者が、判決後3年にわたる執念の取材でたどり着いた事件の真相を描く渾身のノンフィクション!落涙必至の人間ドラマがここにある。
目次
序章
第1章 取調室
第2章 公判
第3章 糊塗
第4章 判決―終わりなき闘い
第5章 真相
エピローグ―裁判員制度
著者等紹介
梶山天[カジヤマタカシ]
1956(昭和31)年、長崎県生まれ。1978年朝日新聞入社、佐賀、鹿児島支局、西部本社社会部事件キャップ、東京本社社会部警察庁担当、佐世保支局長、西部本社報道センター(旧社会部)次長、鹿児島総局長、西部本社報道センター地域面監事兼ジャーナリスト学校幹事、東京本社マーケティングセンター企画・戦略チーム主査を経て現在、東京本社特別報道センター員。鹿児島総局長時代の「鹿児島県警による03年県議選公職選挙法違反『でっちあげ事件』をめぐるスクープと一連のキャンペーン」で、鹿児島総局が2007年11月に石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Steppenwolf
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この本を読んだ今ここにコメントを書くのはためらわれる。私が必要以上に神経質なだけかもしれないが。 しかしこの本は全てに人に是非とも読んで欲しい。まるで良くできた作り話のようなノンフィクションである。読後二時間ドラマを見たら本当にこんなドラマのようなことをやったのだとつくづく感じた。所轄と本庁の関係など笑うしかない。冤罪被害が後を絶たないのはこれを読むとある程度理解できる。これは選挙違反という程度であったが重罪でこんな捜査をされたらたまらない。2010/05/03
あまたあるほし
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新聞で十分。2010/11/11
きりん
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取調べ過程の全面可視化、代用監獄の廃止、自白偏重主義から物証偏重主義へ。冤罪、虚罪をなくし、違法捜査をなくすための政治的な努力を怠っているから、こんなことが起きる。おそらく、違法捜査を行った取調官たちも苦しいだろう。誰の得にもならないのが現在の司法制度だと思った。2010/04/22