内容説明
身のうちに病を飼い、未来を望まぬヤクザ「藤堂」、記憶を喪い、未来の鍵となる美少年「穂」、未来を手にせんとする男「沖」、沖と宿命で結ばれた異能の女「蛭雪」、未来を望まずにはいられぬ少年「誠」、誠と偶然で結ばれた異能の女「戊」―縁は結ばれ、賽は投げられた。世界は、未来は変わるのか?本屋大賞作家、冲方丁が若き日の情熱と才能をフル投入した、いまだかつてない異形のエンタテインメント。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。幼少時より海外生活を経験し、96年早稲田大学入学。同年本作で第1回スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。ゲーム、映像、コミック、小説とメディアを横断した執筆活動を精力的に行う。2009年、初の時代小説『天地明察』を刊行、同書は第31回吉川英治文学新人賞、2010年本屋大賞、第7回北東文芸賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
99
若いエネルギーが凝縮されているのがわかります。その分荒削り感はありますが、だからこその力を感じました。和風ファンタジーと幻想小説が交錯して生まれる独特の世界。世界と未来は変わるのかという恐怖と不安の中で投げられた賽がどのように転がっていくのか終始引き込まれました。最近の歴史に題材をとった作品とはまた違った魅力を見せてくれます。これが原点と言ってもいいかもしれませんね。2017/02/28
アイゼナハ@灯れ松明の火
39
疾走感と言葉のセンスが素晴らしい、沖方丁のデビュー作。この世界のもう一つの姿である〈闇代(ゆりしろ)〉を統べる八方門家のひとつ、艮社(うしとらのやしろ)に属する『巍封』の者の活躍を描く。作者が当時、暦学に傾倒していたとあって設定がしっかりしていて、書き込まれてる以上に背景世界に広がりが感じられるとこが凄いです。後はもう、主役を食っちまってる『戌』がステキすぎる。〈巫器〉のネーミングなんかもとっても好みで、楽しませてもらいました。2010/08/28
桃水
28
著者のデビュー作。ヤクザと異能者に記憶喪失とか飄々としたキャラが出てくるところは菊池秀行氏の作品に似てるかも。暴力的な描写も多いのでそういうのが苦手な人にはお勧めできません。やたら難しそうな単語並べたり、やや説明不足になっている部分に若いな~と思いますが、19歳でこれだけ書けるのはすごいです。2010/11/11
KEI
25
購入。本屋大賞2010「天地明察」の沖方 丁さんのデビュー作。第一回角川スニーカー大賞金賞受賞作。デビューの時点で「ばいばい、アース」で感じたあの設定の深さ、独特の言葉遣い、用語が、既に存在していた。そして魅力的なキャラクターが躍動していた。特に戊さん最高。素敵過ぎる。それにしても、この作品は中二だよなぁ・・・(苦笑)2010/08/28
ラグエル
23
売れなかっただろうなあ、この本。話題にしづらかっただろうなあ。ただ、ものすごい力強さとか、強烈な勢いは感じる。「土の絵」とか「赤い針」とかマジで怖かった。最近のライトノベルしか読んでない人たちは、この小説をライトノベルと呼ぶのは無理でしょうな。うん。つくづく、この人は、かっこよさにこだわった人なのかと起源を見た気がする。ここまでオーラ逆巻く中二病も、いいものです。2013/01/18