出版社内容情報
山折 哲雄[ヤマオリ テツオ]
著・文・その他
内容説明
釈迦を生んだインドは、ヒンドゥー教の生命観を反映した強力な性愛とエロスが渦巻く狂躁の世界でもあった。そのインドの宗教世界に禁欲と神秘主義をもって分け入り、自己神化論へといたるウェーバーの思考をたどり、また同じ禁欲という観点から、ガンディーの「非暴力」思想の背後にある「性ののり越え」という奇妙な試み、その聖性と魔性を描く。インドという土壌で展開されるエロスの抑圧と昇華の相克を論じた、探究の書。
目次
1 性愛と狂躁のインド(インドの風;ゼロと空;インドのエロスと神秘)
2 ガンディーの聖性と魔性(ガンディーの“インド”;非暴力と断食;非暴力の暴力)
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年生まれ。宗教学者。東北大学文学部印度哲学科卒業。同大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授を経て、同センター所長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
1
旧国鉄では主要駅を0.00時に出発する列車は皆無であった。関東の私鉄では京成京急が意識的に0.00時発の列車を走らせているだけ。関東では0時発のダイヤを避ける傾向。しかし関西では私鉄一社を除き殆どが0.00発。ゼロを嫌うのは日本人でなく,あずま型の人間か。ソ連ではモスクワ,レニングラードを結ぶ「赤い矢」号の出発が23.59。どう解釈すべきか。「たがいに矛盾する命題が統合されたり統一されたりしているようにみえるのは、むしろ一種の錯覚である場合が多い…そもそも、そんなことが実証的に説明されうるものなのか2014/01/18
うちこ
0
「おっと、そこ掘り下げますか」という異色コンテンツのオンパレード。ヒンドゥー教の四住期説と仏教の四諦説を並べて、最終目標を「遁世」とするか「道」とするかの差異をと捉えていく過程などは読んでいてすごくおもしろかった。第二部は、インド思想の中の性愛のとらえかたを第一部でこってり著者さんの思い入れとともに紐解いた後に、ガンディーの行動に重ねていきます。「決めつけて勢いよく進みすぎでは」感じるところもありますが、頭の中で地図や年表を描きながらインド思想を学んでいる人には、すごく楽しい内容です。2014/09/06