出版社内容情報
高浜 虚子[タカハマ キョシ]
著・文・その他
内容説明
「去年今年貫く棒の如きもの」「一つ根に離れ浮く葉や春の水」ほか、世界で愛唱される名句の数々を生んだ高浜虚子が、日常の言葉でやさしくわかりやすく、誰にでも伝わるようにと説いた俳句の実作入門。まず十七字を並べてみること、ものをじっと眺めること、じっと案じ入ること等の至言名言が、これから俳句を始める人、実作に悩む人たちの胸に深く沁みてゆく。本質的俳句論の「俳諧談」収録。
目次
まず十七字を並べること
題を箱でふせてその箱の上に上って天地乾坤を睨めまわすということ
じっと眺め入ること
じっと案じ入ること
埋字
古い句を読むこと新しい句を作ること
付録・俳諧談
著者等紹介
高浜虚子[タカハマキョシ]
1874年松山生まれ。本名、清。能楽保存に尽力した池内家に生まれ、後に高浜の名跡を継承。子規、漱石、碧梧桐らと親交を結び、小説を著す一方で、『ホトトギス』発行人となって今日の俳句隆盛の基盤を作る。「客観写生」「花鳥諷詠」など、広く老若男女に俳句を伝え広めると共に、多くの優れた俳句作家を育成した。文化勲章受章。1959年4月8日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
23
私が俳句にはまったのは大学2年の時に履修した芭蕉の授業。俳句の簡潔な抒情に魅せられたが、自分で実作したのは短歌だった。俳句の枠では言いたいことが言いきれないので。6年ほど前に小川軽舟さんの『俳句と暮らす』を読んで自分も詠みたくなって日経俳壇に投稿したら故黒田杏子先生の1席に取っていただいて私は調子に乗った。投稿を繰り返しカルチャーセンターの俳句教室に学んだ。俳句教室は仕事の都合で辞めた。俳句の入門書をまともに読んだことがないとはたと気づき本書を選んだ。引用句が良い。古い句を再読推奨しているのも良い。2024/09/06
ちくわ
16
前回に続き俳句。本書は山本五十六的な優しさに溢れており、ヤル気にさせてくれた。冒頭の『一匹は見えで鳴きけり猫の恋』は詠めそうでもある。自分は純文学のような侘び寂び多めの俳句は不似合いなので、日常のワンシーンを素直な感情で詠めれば嬉しい。感じたまんまだ。後、やり始めて気付いたのは無理に詠まない事。わざと外に出て景色を見て頭を捻るのではなく、とある光景を見た際に何かを感じた考えた…この俳句の種を写真やメモに書き留め、後で季語や型を推敲するのが一番楽しめたように思う。隙間時間の遊び感覚ならそう気負わないしね。2024/08/15
紫羊
11
「じっと眺め入ること」「じっと案じ入ること」簡単なことではないと思います。これまでずっと、なぜ私には俳句が作れなかったのかが腑に落ちました。2022/02/07
たいけい
9
2025年2月10日(月)読了。初読。ブックウォーカーの無料ポイントで電子版で読んで以来、書籍で読みたくて昨年暮れ古本で購入。大正年間にホトトギスに連載したのをまとめたもの。まず十七字を並べること/題を箱でふせてその箱の上に上って天地乾坤を睨めまわすということ/じっと眺め入ること/じっと案じ入ること/埋字(一)/埋字(二)/古い句を読むこと 新しい句を作ることの七章に付録・俳諧談と解説。十七字と季語・切れ字の制約の下で、どのように俳句を作るかを、高浜虚子自身が手取り足取り丁寧に教えてくれている感じがした。2025/02/10
瓜坊
9
『俳句とはどんなものか』は聖書みたいと書いたけれど、こちらは実践編。五字、七字、七・五字を埋める部分では本を置いて思索に耽る程、平易な語り口の虚子の俳句論に入信してしまった。子規は芭蕉より蕪村が上だと言うが、虚子の言うところでは、芭蕉>子規>蕪村となるらしく、それは技巧よりも人生経験の裏打ちが如何程かにあるそうだが、私はそこが少し腑に落ちない。つまり、この虚子の思想を踏まえて付け加えるならば、この教典以外で技巧についてもっと深く語る句作入門書があれば面白そうだが、今はこの本に従い十七文字を並べてみよう。2016/11/28