出版社内容情報
「悪逆非道の清盛像」を覆し、王権に挑んだ先進的政治家の真実を描き出す!後白河院政の否定、政敵への仮借なき攻撃、強引な福原遷都計画。悪逆非道の汚名を着せられた清盛が真に追いもとめたものとは? 先進的政治家としての鮮烈な実像を描き、従来の悪人像を覆した画期的清盛論!
元木 泰雄[モトキ ヤスオ]
著・文・その他
芦澤 泰偉[アシザワ タイイ]
著・文・その他/イラスト
内容説明
巨大な権勢をもって驕り、「仏敵」「悪逆非道」の汚名を着せられた平清盛。彼が真に追いもとめたものとは、何だったのか?後白河院政の否定、政敵たちへの仮借なき攻撃と断罪、強引な福原遷都計画、そして南都焼き討ち…。貴族と武士が一体化した中世国家という、新たな政治秩序の確立に邁進した足跡をつぶさに検証。波瀾に富んだ生涯と、先進的政治家としての鮮烈な実像を描きだす。従来の悪人像を覆した画期的な清盛論。
目次
序章 清盛像の変貌
第1章 王権下の清盛
第2章 後白河院との対峙
第3章 王権への挑戦
第4章 新王朝の樹立
第5章 遷都と還都
第6章 最後の闘い 猛き者清盛
終章 平氏の滅亡
著者等紹介
元木泰雄[モトキヤスオ]
1954年、兵庫県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。中世前期政治史専攻。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翔亀
43
【中世16】「鎌倉殿の13人」のおかげて始まった【中世】シリーズ。こんなに続けるつもりはなかったのだが、源氏の視点で読んでいるとどうしても平氏が気になってくる。清盛は「奢る平家」と悪いイメージしかないがどうなのだろうか。「源頼朝」や「河内源氏」の圧倒的なディティールで驚かせてくれた元木泰雄の本書に手を延ばした。■相変わらずのディティールの積み重ねだ、と最初思ったのだが、本書は元木にしてはなぜか熱がこもっている。福原(神戸)への思い入れがあると同時に、清盛に対する思い入れがありそうだ。特に後白河↓2022/03/27
umeko
16
ドラマなどで清盛の生涯は知っていたが、何を目指し、なぜそうしたのかが非常によく理解できた。面白かった。2019/04/12
流之助
14
平清盛とは何と戦おうとしていたのか、貴族と武家が分離してゆく中世は清盛が長生きしていたら変わっていたのかも?など、色々深堀りした考えをさせてくれ、とても勉強になる本だった。書かれたのが阪神・淡路大震災の後ということで(文庫化が東日本大震災の後)、神戸への熱い気持ちも見られて人の温もりのようなものも感じられる。平家物語を読んだ後にこれを読んだので、人物関係(主にその系統)についての理解が深まった。平氏が敗れたのは複合権門としての圧倒的な支配のため被支配層が強い不満をもった、つまり強すぎたから負けた…。2024/01/23
shou
5
平氏の台頭した院政期の在り方と、清盛が目指した事業を解説する。特に遷都の意義などが興味深い。時流に乗って躍り出たスケールのある才能、でも後継者は育てられず、既存体制の破壊者に終わる。新しい国家事業は一人では出来ないのだとも思う。2015/03/06
ayame
3
貴族政権と武士政権との闘いを、清盛の晩年を中心に治承年代を中心に書かれている。後白河法皇、延暦寺興福寺圓城寺、源氏等との関係。何度も読み返したい。2025/01/30