出版社内容情報
わたしが見ているこの世界は、すべて心の中にある。心の外には存在しない唯識仏教の大本山、奈良興福寺の貫首が、身近な例を用いつつ、心のしくみや働きに迫りながら『唯識三十頌』を易しく解説。日常の己をみつめ、よりよく生きるための最良の入門書。『唯識 こころの哲学』を改題。
多川 俊映[タガワ シュンエイ]
著・文・その他
内容説明
あらゆる現象は心によって生み出されると説く「唯識」。『唯識三十頌』は、5世紀のインドの学僧・世親が、教説を30の詩句で簡潔に示す根本聖典である。その教えの真髄を、玄奘三蔵の漢訳をもとに、本文を書下し、現代語訳。「私」とは何か、「心」とは何か―。唯識仏教の大本山、奈良・興福寺の貫首が、身近な例を用いながら、心のしくみやはたらきを平易に解説。日常の自己をみつめ、よりよく生きるための最良の入門書。
目次
唯識三十頌(本文・書下し・現代語訳)(はじめに;心の構造とその展開;心のはたらき;すべては心の展開;世界の在り方;真実の世界へ;結びの頌)
唯識三十頌(読誦用)
著者等紹介
多川俊映[タガワシュンエイ]
1947年、奈良市に生まれる。1989年、興福寺貫首に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
42
『唯識三十頌』を解説した一冊。『唯識三十頌』は世親作、漢訳は玄奘。やはりというか当然というか唯識に暗い自分では書き下し文を読んでも、単語一つ取ってもさっぱりであった。故に懇切丁寧な現代語訳はありがたく、解説した部分はさらにありがたい。唯識というとやはり阿頼耶識から末那識、六識への展開が中心というイメージがあるが、本書では境識倶泯の部分から菩薩の階梯、転識得智まで流れに沿って説かれているので、その部分も自分のような初心者にはわかりやすかった。それにしても三十頌、短くとも実によくまとまっているのを再確認。2015/12/25
記憶喪失した男
12
「阿頼耶識」と「末那識」について書かれた「唯識三十偈」の翻訳がある。短いものであるが、この本で訳文を読むことができる。その内容は面白かった。2018/05/07
shimashimaon
6
世親(ヴァスバンドウ)が30の詩句で唯識論を解説したもので、玄奘三蔵による漢訳が本文テキストになっています。本文に続いて書き下し文と現代語訳、解説を読んでいきます。30個ですから読みやすいです。心の動きを、三能変の八識心王とそれらに相応してはたらく五十一心所として分析するもので、要は「すべては心が作り出したもので実体などない」と説きます。そして根本原因が心の最深層にある不可知の阿頼耶識。私たちはそれに踊らされている、正に無縄自縛。51種類の心の動きを見定めることで、煩悩に支配されないようにしたいものです。2022/07/06
randa
4
難解な唯識をこのコンパクトさで学べる、最高です。2018/02/26
宴
3
何年か前に買って途中で挫折2024/12/29