出版社内容情報
ノーベル生理・医学賞受賞の利根川進氏との20時間に及ぶ徹底インタビューを通して、生命科学の最先端の現状をわかり易く解説する
内容説明
20世紀後半になって分子生物学は飛躍的な発展をとげ、いずれは生命現象のすべてが物質レベルで説明がつくようになるだろうとの予測すらある。その中で100年に1度という利根川進のノーベル賞論文はどのような意味をもつのか。立花隆が20時間に及ぶ徹底インタビューで、私たちを興趣あふれる最先端生命科学の世界にいざなう。
目次
第1章 「安保反対」からノーベル賞へ
第2章 留学生時代
第3章 運命の分かれ目
第4章 サイエンティストの頭脳とは
第5章 科学に「二度目の発見」はない
第6章 サイエンスは肉体労働である
第7章 もうひとつの大発見
第8章 「生命の神秘」はどこまで解けるか
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかぴ
22
ノーベル賞受賞者と対談するためにどれだけ学んだのかが覗える。スポーツは深いところまで探るメディアが多いがそれ以外のジャンルももっと知りたいと思わせていただいた。2022/05/20
Lee Dragon
22
コロナウイルスのワクチンの話が出たので過去に抗体の多様性というテーマでノーベル賞を受賞した利根川進さんの本を手に取ってみた。頭が良いだけでは一流のサイエンティストにはなれないのだなと言う事がよくわかる一冊。30年前の本ではあるが、色褪せない。特に後半の精神活動を物質に還元する話はその場の緊迫感が伝わってきてとても面白い。私も利根川さんに近い立場を取っている。利根川さんは脳について興味があると述べているが、私が学生時代に記憶を再現したり、面白い論文を出していたのを覚えていてる。2020/12/31
akira
21
ノーベル生理学医学賞受賞の利根川進博士と立花隆氏の対談。非常に面白かった。博士の来歴から分子生物学の発展過程までが共に楽しめる。1993年頃の本。自分が分子生物学を学ぶのはその8年後あたり。端折られてはいるものの、かなりアカデミックな内容も語られている。博士の経験談と思考はとても刺激的!ありえない結果が科学の常識を覆し、大発見となる。そのときに、ただの失敗とみるのか。それともそこに何かを感じて考察できるか。「常識的にそんなことはありえないだろうと思っていたけど、絶対にないともいいきれない」2015/10/09
koji
20
27年ぶり再読。私が立花隆さんに深くのめり込んでいく契機となった1冊です。再読のきっかけは、身内が癌で亡くなり基礎から分子生物学を学びたいという欲求が起きたこと。本書は、高等学校生物(1988年当時)をベースに丁寧に知識を整理・解説し知的欲求を満足させてくれます。50代以上の学び直しに最適です。利根川進さんのノーベル賞授賞発見(抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明)が丹念に書かれていると共に、その箴言に触れられることが魅力です。とりわけ「センスとは、その人の自然観が本当のネイチャーに近い人」には痺れました2018/01/15
はかり
17
DNAとRNAの違いもよく分からない文系にとっては極めて難しい本だった。生物の進化は突然変異と遺伝子の組み換えによっておこるというのには目が覚める思い。同時に物資の解明が精神をも解明するというのにも。立花氏が懸命に利根川博士に立ち向かっていることに感銘した。2023/02/27