内容説明
全国10万の神社の総氏神、伊勢神宮。ここでは1300年の長きにわたって1年に千数百もの神事・祭儀が行われてきた。毎日朝夕毎に神饌が奉られ、特別に調製された御飯・御塩や乾鰹などが供される。今も和妙(絹)・荒妙(麻)が奉織され、20年に1度の式年遷宮では、社殿その他が新造され、神宝(調度品)などもすべて新しく調進される。これら衣食住にまつわる神宮の知られざる営みと信仰を、もと神宮禰宜の著者が描き出す。
目次
第1章 衣(天照大神の衣服;和妙と荒妙;和妙の奉織作業 ほか)
第2章 食(秘された神饌;神々の食堂―御饌殿;神様は一日二食 ほか)
第3章 住(唯一神明造の御本殿;遷宮はなぜ二十年;式年遷宮は時代を変える ほか)
著者等紹介
矢野憲一[ヤノケンイチ]
1938年、伊勢市に生まれる。國學院大學文学部日本史学科卒業。1962年伊勢神宮に奉職。神宮禰宜、神宮司庁文化部長、広報課長、神宮徴古館農業館館長などを歴任、2002年退職。現在、NPO法人五十鈴塾塾長。専門は神道文化史・民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遅筆堂
16
神道、伊勢神宮フェチであるが、この本は知りたいことが詳しく書かれていてとても勉強になる。単なる観光ガイドではなく、歴史と意義など根っこの所から説明をしてある。著者の本音の部分も時々でて面白い。2013/09/02
うえ
8
「神宮では神饌のなかでアワビを特別に大切にする。それゆえ私はアワビに関心をずっともち続け、一冊の本を書いた(『鮑』)。私はアワビこそ神宮が伊勢に鎮座した大きな理由の一つにかかわっていると思う…アワビは古くから鮑・鰒・蚫などと表記され、一般では鮑を多く用いるが、『延喜式』など国の編纂した書物では鰒で統一し、神宮ではいまも古式にしたがって鰒と記している…伝承によれば…倭姫命が神饌の供給地を求めて志摩地方をめぐられていたとき、国崎の湯貴の潜女とよばれた海女が差し出したアワビをとても喜ばれ、ここを御贄所にした」2018/05/18
phmchb
2
( ..)φメモメモ「神都名勝誌」(p164)/「皇大神宮年中行事」(p173)/「日本・その建築美術と手工芸」クリストファー・ドレッサー(p202)/「神社建築の研究」福山敏男(p204-205)/「度会神道大成」(p212)/「神宮御杣山記録」;「神宮御杣山の研究」木村政生(p217)2019/11/01
mahiro
2
今も古式で神様の衣装、食事などを作り続けている事や式年遷宮の時になにもかも新しく作りなおす事など、神事によって消えかけている日本の伝統工芸や技術、農法などがかろうじて受け継がれていくであろう事が貴重な事だと思う。信仰に基づくすばらしいシステム・・伊勢は行った事がないがいつかは参拝してみたいと思う2010/08/30
水菜
1
伊勢神宮の日常的な仕事を書いた本と言っていいと思う。毎日のお供えや儀式など、想像以上に細かい決まり事があるようだ。千年以上受け継がれてきた伝統である。「目分量」「ざっくり」を座右の銘とする私には気が遠くなる話。2013/11/16