内容説明
信長、秀吉、利休、宗二、織部、遠州、不昧、直弼、鈍翁―。戦国時代以降、茶の湯は多くの権力者や文化人たちを虜にしてきた。限られた空間と茶道具が生み出す宇宙の中で、おのおのにこだわりを持ち、その美学の違いが、ある時は政治的対立の要因にさえなった。いつの世も最先端の文化として存在し、権力者と強く切り結んでいた茶の湯を通して、歴史の本流からは覗けない、個性豊かな茶人たちのなまの姿と心情に迫る。
目次
1 安土・桃山の章―天下取りと名物への憧れ(松永弾正と平蜘蛛の釜;覇王信長の名物狩り;下克上の茶事に・今井宗久;天涯一人茶人・荒木道薫;太閤秀吉と北野大茶会;わび茶の求道者・千利休;孤高の悲劇・山上宗二;山科の隠士・丿貫;博多の梟商・島井宗室;茶に楽しみ有り・織田有楽)
2 江戸前期の章―茶道具が天下を動かす(徳川家康と黄金の茶道具;異聞紫衣事件;古田織部の反乱;謎の茶人・金森宗和;綺麗さびの美学・小堀遠州;人生の達人・千宗旦)
3 江戸後期の章―大名茶人の蒐集熱(江戸の豪商・冬木屋の茶道具;茶の湯忠臣蔵;改革に死す・松平乗邑;江戸茶の巨人・川上不白;美に憑かれた大名・松平不昧;埋木の茶の湯・井伊直弼)
4 明治・大正・昭和の章―茶の湯復興(山田寅次郎の見た夢;益田鈍翁の絵巻切断;荒ぶる数奇者・松永耳庵)
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘拳行』で作家デビュー。直江兼続の生涯を描いた『天地人』が2009年のNHK大河ドラマの原作に決定。同作が第13回中山義秀文学賞を受賞し、現在、最も注目されている歴史小説家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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