出版社内容情報
剣豪に学ぶ、真の生き方
フィクションが先行する剣客の本当の姿を自筆の書状や関係した藩の資料をもとにたどる。「地・水・火・風・空」5巻の兵法を整理し再構成。剣術から剣道への展開に触れ『五輪書』の意義と武蔵の実像に迫る。
内容説明
「地・水・火・風・空」の五巻からなる兵法書『五輪書』。無敗の剣豪武蔵が、死を前に遺そうとしたものとは何か。記述の重複部分を省略、内容ごとに順序を整理して、その極意が鮮明にわかるよう再構成。現代に通じる思想的な意味にも触れながら、その真意を読みとく。また自筆の書状や所縁ある諸藩の資料から、「巌流島の決闘」ほか、フィクションが先行しがちな武蔵の実像を明らかにする。精緻な解説と平易な訳文による決定版。
目次
第1部 宮本武蔵の生涯(武蔵の生い立ち;武者修行と実戦勝負の日々;壮年期の武蔵;晩年の武蔵と『五輪書』)
第2部 『五輪書』を読む(地の巻;水の巻;火の巻;風の巻;空の巻)
第3部 『五輪書』の価値―時代の流れの中で(『五輪書』成立の時代背景;『五輪書』の秘伝化;幕末における剣術の隆盛;近代社会における剣道と『五輪書』の再発見;現代における『五輪書』;『五輪書』に学ぶもの)
著者等紹介
魚住孝至[ウオズミタカシ]
1953年兵庫県生まれ。国際武道大学教授。博士(文学)。専門は日本思想、実存思想、身体文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
37
専門家である訳者兼解説者の文章が充実している。思いのほか精神性を排している。合理的で、実践的で、具体的で、現実的である。型や俗説に囚われない的確な語りが時代や場面や対象を超え、抽象性を帯びることで現代の我々が物事に対峙するときの指南となる。他方で、戦国時代に実践を戦った最後の世代であり、真剣同士の闘いという生死の場面を何度も潜り抜け、全てに勝って生き残ってきた身体性に裏付けられている。名人が持つ強度と背後世界の抽象性が、相反する様でいて同じ焦点を結んでいる。仏教儒教ではない思想書として稀有なのではないか。2023/06/18
活字スキー
22
「国内外にその名を轟かせる歴史的名著はやっぱり読んでおかなきゃな~でもハードル高そうだしな~」……ハイ!そんなアナタの強い味方が角川ソフィア文庫!サイズと価格は手頃に抑えつつ、原典の著者や成立、世間での評価までざっくりとまとめ、ガチ勢以外にはついていけない複雑な部分や、逆に重要度の低そうな部分は適宜割愛した上で原文と現代語訳を併記。さらに章毎に概要、読みどころも紹介される親切設計で伝説的な剣豪が遺した「戦い抜くための心構え」を現代に伝えます!お求めはネット書店もしくは実店舗の文庫棚で!2019/09/11
tom1969
19
武蔵の兵法とは、その道のプロが勝ちに拘る事と理解しました。だが、1回、2回では腹落ちしないので常に持ち歩きちょっとづつ理解することとします。武士道と兵法は現時点では異なる精神であると個人的な思いです。2016/12/21
Koichiro Minematsu
15
録画していたTV番組を観て、読みたくなりました。剣豪、武蔵にあって剣術の書でありながら、真剣勝負の世の中を生きてきた、社会を見る眼が捉えた生きる術は、現代人の私たちにも通じるところがあり、海外でも読まれていることも、頷けました。 リーダーシップ、コーチング、個の成長にもつながる指南書ですね(笑) 良書!2016/06/22
RED FOX
15
勝つため、の一点に集中されたリアルな世界観。原文は抜粋されてますが初めて読んだ、迫力を感じた。武芸だけでなく、農業や工業など世間全ての芸から貪欲に学ぶ姿勢、当時は馬鹿にされたであろうに偉いなあ。2016/04/11