内容説明
宗派や時代を超えて愛誦される「般若心経」には、仏教のあらゆる教えが含まれている―。人々の幸せを願い続けた空海が最晩年に「般若心経」の本質を“こころ”で読み解き、後世の人々への希望として記した『般若心経秘鍵』。空海思想の集大成であるその名著を、原文とやさしい口語訳、分かりやすい解説で読む。中核となる主張をまとめた名言や人情味あふれる逸話集なども併載。壮大な空海の思想を現代に甦らせた決定版。
目次
般若心経秘鍵の名言
般若心経(訓み下し・口語訳)
般若心経秘鍵(口語訳)
般若心経秘鍵(原文訓み下し)
解説
人情味あふれる空海の実像
著者等紹介
加藤精一[カトウセイイチ]
1936年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。大正大学大学院博士課程修了。博士(文学)。大正大学名誉教授。東京・南蔵院住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジョンノレン
59
今や物理学最先端の量子物理学者もその最新知見、存在のありようについては仏教的空思想や関係性に親和性を表明するに至っている。ナガールジュナとか般若心経がそのコア部分に含まれるかな。天才空海の解説はこなれていて分類分析も見事で、ちゃっかり我田引水も。なかなか理解と合点のいかないところも残した上で、改めて心教本文読みくだしを丁寧に読んでいたら、なぜか泣けてきた。名曲も解説を読む楽しみはあるものの、やはり感動は曲そのもの、やっぱりね。 2024/09/27
KAKAPO
45
加藤精一さんは、かねてから、弘法大師空海の著作を、できるだけ正確な現代語訳にして、多くの人々にその概略を理解できるようにしたい、と願い、空海の処女作『三教指帰/さんごうしいき』(空海24歳)、『秘蔵宝鑰/ひぞうほうやく』(空海57歳と考えられる)を上梓された、そして平成23年、この『般若心経秘鍵/はんにゃしんぎょうひけん』(空海61歳)を出版された、私でも理解できる美しい現代語訳によって、誰もが弘法大師空海の灌頂を受けることができる。加藤さんが、成し遂げた、このような仕事をライフワークと呼ぶのであろう。2018/11/03
ネジ
43
★★★★★ 空海による般若心経の密教的な解釈。般若心経は仏教のあらゆる宗派の考えが包含されているとし、各宗派は違う手段であれど目指すところは同じだとした。般若心経はくどい表現もけっこうあると感じていたが、空海の一字一句の丁寧な解釈を知り、ありがたみを感じられるようになった。 ①般若心経はあらゆる仏教の考えを包含する重要な教えである。 ②宗派ごとの隔たりはなくし、偏見のない見方を身につけていくべきだ。 ③空海は人の心を救うことを主眼に置き、悩み相談なども多くしていた。2023/12/17
道楽モン
39
空海による著作『般若心経秘鍵』の現代語訳。これは読み易い。真言密教の解釈では般若心経を如何に解釈して位置づけるのかを、実に丹念に解説したもの。当時のスーパー・エリートであり、天才でもあった空海は、異なる宗派(大乗、小乗)の極意を分類し、すべての宗派が般若心経に集約されていることを教示する。つまり、どの宗派であれ悟りを得てたどり着く境地は同一であるとのこと。したがって般若心経は宗派を問わない、万能の経典であるとの結論だ。空海が求めたものは真言密教の優位性を示すことではなく、人々の平和と即身成仏への気づきだ。2024/10/27
kazuさん
36
空海が般若心経をどのように解釈しているかが知りたくてこの本を手に取った。空海が一番言いたかったことは、名言1の "仏陀のさとりは各自の心中にある" だと思う。名言2の般若心経は "心の中を示した密教経典" と言及しながらも、全ての宗派において根源的な経典であると伝えるのを忘れていない。一番知りたかった "色即是空" についての詳細な解釈は見当たらなかったのが残念。空海は幅広い読者層を想定していたのかもしれない。2024/01/07