内容説明
今日では芳醇な吟醸酒を少量たしなむのが好まれるが、薄目酒であった江戸の大酒飲みは、酒比べでなんと3升も4升も飲んだという。お酒にまつわる習慣や文化は、時代によって大きく様変わりしてきた。その日本酒の原点を、神と「まつり」と酒宴にもとめ、民俗学的な視点から、酒と肴の関係や酒宴の移り変わり、飲酒習慣の変化、醸造の話や食文化とのかかわりなどを含蓄豊かに語り、お酒とその周辺の文化をやさしく説く。
目次
1 酒と神―祭りと酒の原風景(御神酒あがらぬ神はなし;御神酒のもとは一夜酒;飯も酒も餅も原料は米 ほか)
2 神と酒と人―酒宴と酒肴の構図(浴衣がけカラオケ大会の不思議;直会と饗宴が連なることでの混乱;神さま仏さまご先祖さまと宴会の席次 ほか)
3 人と酒―醸造と保存の技術(酒造りの工夫と苦労;夏の米づくり、冬の酒造り;日本酒独特の技法は火入れ ほか)
著者等紹介
神崎宣武[カンザキノリタケ]
1944年生。民俗学者。旅の文化研究所所長、岡山県宇佐八幡神社宮司(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆきこ
8
日本酒と日本人の関係性や、日本酒文化の変遷についてまとめた一冊です。日本の宴会の二重構造(礼講と無礼講)の話がおもしろかったです。本来はハレの日にカミと相伴するものであったお酒。その歴史に思いを馳せながら日本酒をちびちび飲みたい気分です。2016/05/24
ぽんぽこ
3
信頼と実績の角川ソフィア文庫による、日本酒を通して日本の食文化まで幅広く網羅した本。白米は本来ハレの日の食べ物であり、神仏に供えるものであり、主食になってからまだ日の浅い食べ物である。酒も同じで、日常的に飲まれるようになったのは日清日露戦争あたりから。戦争が日本酒を普及させたというのはいかにも皮肉だなと思いました。そして戦後の金魚酒に始まる粗悪な日本酒の話も興味深かったです。また掘り下げて学びたいですね。2022/05/24
さんとのれ
2
酒作りという視点を通して見る日本の食文化と習慣、そして信仰行事。礼講あっての無礼講とか、本来の意味から離れてしまったものの意義を考え直すのは面白い。2019/12/16
けっち
0
お酒にまつわる。文化や知識の一冊。 2011/01/19
くらた
0
お酒とその周辺文化の原点について書かれた楽しい一冊。飲酒文化が広まった最大の要因は「戦争」であるだとか、神酒を神社で作って人々に振舞う「どぶろく祭り」のレポートだとか、ネタが満載。2009/08/05