感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
15
「神作家・紫式部のありえない日々」を読んでいたら無性に読み返したくなり再読。執筆当時の、宮中の愛読者達が我も我もと源氏物語を回し読みし、写本が作られては拡散され、続きはまだかまだかとこぞって待ち焦がれていた様子を想像しながら読むとさらに面白い。腐女子目線に毒されて読んでみると、確かに頭中将→光源氏が違和感なく解釈出来てマジかよと思う。2024/03/02
LUNE MER
11
お笑いパートとしては末摘花、源内侍の登場。シリアスパートとしては葵の上との死別。紫の上は少女から大人の女性へと成長し、六条御息所のキャラも確立されていく見処の多い6帖が編集された第二巻。葵の帖では、死の直前の葵の上の態度をどうとるかで情緒が一変するが、田辺聖子訳のように遅ればせながら源氏への愛情を表に出したと見るか、林望訳のようにあくまで源氏への負の感情を貫徹したと見るか、これはどちらと断定するのも難しそう。あくまで個人的にはだが、自分の意思を持つことすら許されなかった人生への諦めの表情に見えた。2020/04/26
ヤベ
3
源氏の色への興味は青年になるに連れて旺盛になった。相応しくない場面でも言い寄ってくる源氏に一部の女たちは本当に辟易しているけど、そこで女たちの見せた疲弊の表情にも源氏が愛らしさを抱くのが、いよいよ風流の権化らしくて、恐ろしくも神々しかった。あと、源氏の女を犠牲にしても色の探求を貫く性格に、川端康成の特に後期の作品が影響を受けているように感じた。2022/01/06
ヤベ
2
葵上が死に、御息所も伊勢に下り、桐壺帝は儚くなって、藤壺は尼になる。源氏の親しい人間が物語の表舞台から去っていく。それらに倣うように源氏自身も須磨へ流される。一方で、若紫と夫婦の関係になり、朧月夜とも通じる。花が枯れ、葉が落ちながら、新しく芽吹くものもある。激動の青年時代の趣で、物語として面白くなってくる。2023/01/09
しんすけ
2
源氏物語の中でもとくに興味を惹かれる段、「葵」と「賢木」が含まれる。六条御息所と葵の口に出さぬ葛藤が面白い。また源氏と藤壺の関係があからさまなのも興味が惹かれる。今の時代に、天皇の息子がプレイボーイで義母まで犯すなんて物語を書いたらブーイングものだと思うのだが、『源氏物語』とはそのような物語である。当時の読者層の大半が宮中の女たちだったから身内のゴシップとして笑って済ませたのだろうか。2016/08/07