内容説明
ぼくは人にして、猫。暗黒街に棲み、自由を愛する!近未来フランスを舞台にした、新感覚SFノワール。第2回日本SF新人賞受賞作。
著者等紹介
吉川良太郎[ヨシカワリョウタロウ]
1976年6月17日、新潟生まれ。中央大学文学部フランス文学科博士前期課程在学中(2001年5月現在)。専攻は、ジョルジュ・バタイユ「ペロー・ザ・キャット全仕事」で第2回日本SF新人賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
67
3.8/5.0 憑依猫がギャング街を駆け回る近未来SF。古今東西の引用も交えた気の利いた一人称の語り口は、翻訳された海外SFを読んでいるよう。近未来描写にも無理がなく、アクションにも臨場感があり、総じて優れたエンタメ作品だと思う。2021/02/09
藤月はな(灯れ松明の火)
37
ギャングに支配され、人間の戦闘能力の強化のために全身改造は当たり前になった世界。サイボーグ猫に人格を転移し、人の秘密を知り、恐喝していた主人公は逆に組織に脅され、スパイとして取り込まれてしまう。所々の哲学的サブカルチャーの要素が楽しい。人と触れ合うのは嫌いなのに人に依存しなければ生きていけず、生きる処世術として相手に与した主人公へかつての馴染みが冷たいというのが印象に強く残っています。一方、シモーヌのかっこよさとあの人の「理由づけないと生きていけない奴は死んで当然だ」と言わんばかりの冷酷さも凄かったです。2013/06/29
すしな
14
023-22.猫に憑依して暗躍するヒーローの話です。日本のSFというよりアメコミ的な印象でした。舞台もフランスですしね。複雑に絡み合った人間関係の中で、誰が信用できて誰が信用出来ないのか分からないまま話は進んでいって、クライマックスまで緊張感が途切れませんでした。せっかくここまでキャラが出来上がったので、続編を期待したいですけどね。2022/03/10
明智紫苑
13
第2回日本SF新人賞受賞作「犬猫コンビ」の「猫」の方。個人的には「犬」こと『ドッグファイト』よりもこの「猫」の方が好みだ。大義名分に生きる「犬」よりも、勝手気ままな「猫」の方が感情移入しやすいのかな? 未来都市が舞台のサイバーパンクSFという辺りが『マルドゥック』シリーズみたいでいいのだ。2017/10/03
本の蟲
12
先日読んだ『ドッグファイト』(第二回日本SF新人賞受賞2作品のうち犬の方)に引き続き、本作猫の方。サイバネ手術を施した動物の五感を、電脳からジャックして操れるシステムを、偶然手に入れた主人公ペロー。猫に憑依して手にした情報で強請りを働くも、地元ギャングに尻尾をつかまれ、無理やり構成員にさせられる。さらば自由なる人猫の日々よ…という近未来フランスを舞台にしたサイバーパンク・ノワール。自由、権利を主張→結局暴力と恫喝に屈するを繰り返す。タフになりきれないペローが実に人間臭い。次は第三回受賞作の牛SF読むか2024/04/30
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