内容説明
プロ野球投手として活躍していた倉沢修介は、試合中の死球事故が原因で現役を引退した。その後、雑用専門の便利屋を始め、業務の一環として「付き添い屋」の仕事を立ち上げる。その最初の依頼は「息子がサッカーの観戦をするので付き添ってほしい」という女性からのものだった。倉沢が任務を終えると、またも彼女から連絡が入り…。横溝正史ミステリ大賞受賞作家が情感豊かな筆致で綴る、ハートウォーミング・ミステリ。
著者等紹介
伊岡瞬[イオカシュン]
1960年東京都武蔵野市生まれ。日本大学法学部卒。広告会社勤務。2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
352
伊岡瞬さんの2作目は前作とは毛色の変わった4つの物語で読ませる連作長編ハードボイルドミステリですね。今回は更に地味な話で主人公は減らず口のジョークばかりを連発する滅多にいないタイプの超変わり者ですね。倉沢修介は元プロ野球選手でベテランの好投手だったが試合中に死球をぶつけたのが原因となって間もなく現役を引退する。本書の帯に書かれた宣伝文「罪を負う男の哀しきハードボイルド」と冒頭からの主人公の独り語りの気楽な調子から受ける印象が、まるっきり一致しないのでおかしいなあ?と読みながら疑問が頭を離れませんでしたね。2021/12/18
のり
93
プロ野球の世界で活躍していた「倉沢修介」は、危険球による事故をおこした。打者はライバル選手で互いに引退へと向かった。その後、仕事を斡旋されて「なんでも屋」になるが、変わった依頼が続く。依頼者の本音を探り当てながら、幻覚を見、体力も精神も疲弊していく。もう一度グランドで投げる夢を持ちながらもがき苦しむ。支えてくれる良い奴もいる。しかし、思いがけない展開が…これからがホントの再生の道へ繋がる事を祈る。2022/08/26
となりのトウシロウ
89
プロの投手として活躍していた倉沢修介。試合中、打者に頭へ死球を与えその怪我が元で引退させてしまう。その後、倉沢自身も成績を落とし引退を余儀なくされる。失意の中で声をかけてもらい始めた便利屋稼業だがライバルの選手生命を奪ってしまった後悔と苦悩が倉沢を苦しめる。そんな倉沢がしょうもない冗談を撒き散らすところが内心を隠すつもりなのだろうが違和感しかなく、感情移入できなかった。それでもどれだけ落ちぶれようとも彼を支えようとする周りの助けにもっともっと感謝しなくてはいけない。西野晴香の気持ちは胸を打つ。2023/02/25
ニカ
71
文体とか雰囲気が伊坂さんみたいで、自分の好きな伊岡作品では無かった。(伊坂さんも大好きです)もっと硬い文章が好きなので、殆ど流し読みでした。2021/03/14
ゆみねこ
69
元プロ野球の投手倉沢は、試合中の危険球で対戦相手に大けがを負わせ、それが原因で現役を引退した。その後便利屋を始めその一環として「付き添い屋」も請け負う。145gは、野球の硬球の重さ、倉沢のオヤジくさいギャグに時折ニヤリ。ガリ勉少年の優介くんが可愛かったなあ。2015/05/07